ai(人工知能)の活用法について中小企業の経営者が知っておきたい9つのポイント

 

 

 

巷で話題のai。

あなたはどのように見ているのでしょうか?

 

「aiに仕事を奪われる」と焦っている人もいれば、うちの会社には関係がないと考えている人もいるかもしれません。

 

確実に言えることは、今後、私たちの生活にaiは深く関わってくるということです。当然ながら仕事にも影響があります。

 

aiの進化に取り残されそうで恐ろしいと考えることも正しいとは言えませんし、関係ないと考えるのも浅はかです。

 

少なくとも、aiは私たちの脅威ではなく、生活を向上させるために開発されているというしっかりとした認識を持っておくことが大切です。

 

この記事では中小企業の社長が、どのようにaiについて考えればいいのかを示唆したいと思います。

 

 

 

1:そもそもaiとは何か?

最初に、昨今の情報を見ていると、aiについて過剰に期待したり、脅威論を振りかざす内容が多いと感じます。

 

最初にaiとは何かということについて考えたいと思います。

 

aiには2つの種類があると言われています。

 

「強いai」

 

これは鉄腕アトムやドラえもんのように、人と同じように考え、動き、人以上の性能を持ったaiのことを言います。強いaiの開発と実用はまだ先の話だと言われています。

 

「弱いai」

 

こちらは、特定の機能に特化したai(人工知能)のことを言います。将棋やチェスで人間の勝利したことはご存知だと思います。この進化は目覚ましく、aiが不得意だと言われたポーカーでは人間に勝利しています。

 

こうしたことができるのは、「ディープラーニング」と呼ばれる、aiが自ら情報を収集、分析(学習)する仕組みが考案されたからです。

 

複雑なデータに関する分析においては、人間よりも判断が正確だと言えます。

(近い将来、人の行動パターンから、仕事をサボる社員を特定することもできそうです)

 

ただし、弱いaiは「道具」だということを忘れないでいただきたいと思います。ゲームで人間に勝ったから人間よりも上位にいるのではありません。ゲームで人間に勝ったaiを開発したのは人間です。そして開発の目的は、より幸福な社会の創造のためです。

 

シンギュラリティ2045と言われている、aiが人間を凌駕するという問題警告もありますが、この記事では弱いaiに焦点を当てて話を進めたいので、深入りをしないでおきます(筆者は現実的な話ではないと考えています)

 

 

 

2:aiとロボットの違い

強いaiと弱いaiがあるとお話しましたが、多くの人が誤解をしているのは、aiとロボットの違いです。

 

人工知能はシステムですから、ソフトウェアの側面に焦点が当たっていて、ロボットはもっと物理的な機械、ハードウェアの側面に焦点が当たっています。

 

人間と同じかもしくはそれ以上の脳の構造を持ち、自立した思考ができるソフトウエアを備えて、自在に動くことができるハードができたとしたら、映画に出てくるアンドロイドです。

 

アンドロイド(ヒューマロイド)の研究では、石黒研究室が有名です。しかし、私たちがイメージしているアンドロイドの開発には至っていません。

石黒研究室のホームページ

 

 

 

現在では、人の操作によるaiの活用が促進されています。つまり弱いaiと高性能な機械の組合せです。

 

テスラの工場では、従来の自動車工場とは違い、ロボットによる製造が行われています。

近い将来に、製造業が変わっていく世界ではないかと思います。

 

 

すでに手術ロボットや自走運転は実用段階に入っていますが、モラルや法整備という開発以外の課題もあり、実用の検討段階だと言えます。

 

 

 

3:aiの得意分野と不得意分野

ここからはaiの得意分野と不得意分野について考えたいと思います。

 

ディープラーニングの進化に伴い、大量のデータを解析できるようになったため、

 

記憶

計算

判断

 

の分野では人間を上回ると思われます。

 

 

医療分野で、米IBMが開発した人工知能「ワトソン」を使って、白血病の患者の遺伝子を解析したところ、わずか10分ほどで別の特殊な白血病のタイプであることをはじき出し、他の種類の抗がん剤を提案した。

参考

 

 

という事例もあります。つまり、医師の見立てよりもレベルが高いと言えますが、ワトソンの判断を正解とする判断をするのは医師であることは忘れてはいけません。

 

他にも、製造業で、休みなく正確な仕事をするためには、aiを搭載したロボットは人間よりも作業効率が高いと言えそうです。

 

逆に、aiが不得意だと考えられる分野は、

 

データがない仕事

 

無から有を生み出すこと

 

だと言えそうです。

 

 

 

4:aiにより今後、なくなる仕事は?

ai脅威論が話題になったのは、「aiに仕事を奪われる」という論文が発表されてからだと思われます。

 

なくなると予想されている仕事

 

銀行の融資担当者

スポーツの審判

不動産ブローカー

レストランの案内係

保険の審査担当者

動物のブリーダー

電話オペレーター

給与・福利厚生担当者

レジ係

娯楽施設の案内係、チケットもぎり係

カジノのディーラー

ネイリスト

クレジットカード申込者の承認・調査を行う作業員

集金人

パラリーガル、弁護士助手

ホテルの受付係

電話販売員

仕立屋(手縫い)

時計修理工

税務申告書代行者

図書館員の補助員

データ入力作業員

彫刻師

苦情の処理・調査担当者

薄記、会計、監査の事務員

検査、分類、見本採集、測定を行う作業員

映写技師

カメラ、撮影機材の修理工

金融機関のクレジットアナリスト

メガネ、コンタクトレンズの技術者

殺虫剤の混合、散布の技術者

義歯制作技術者

測量技術者、地図作成技術者

造園・用地管理の作業員

建設機器のオペレーター

訪問販売員、路上新聞売り、露店商人

塗装工、壁紙張り職人

 

 

なくならないと予想さている仕事

 

レクリエーションセラピスト

最前線のメカニック、修理工

緊急事態の管理監督者

メンタルヘルスと薬物利用者サポート

聴覚医療従事者

作業療法士

義肢装具士

ヘルスケアソーシャルワーカー

口腔外科

消防監督者 

栄養士

施設管理者

振り付け師

セールスエンジニア(技術営業)

内科医と外科医

指導(教育)コーディネーター

心理学者

警察と探偵

歯科医師

小学校教員

参考

 

 

この傾向からも、データ分析、IT化、ロボット化に置き換わる仕事はなくなるとされ、データ化が難しい仕事(教育や心の問題、コミュニケーション)は残ると考えたれていることが読み取れます。

 

注目したいのは、「小学校教員」。

問題を出し、正解を採点し、間違った答えを解く方法を示すという点では、aiが有利だと思われます。しかし、子どもの「やる気を引き出す」という点では、教師が必要になります。また、大学受験でも、小論文の採点はaiではなく、人による評価が必要だと思われます。

 

ただし、現時点で自分の仕事が残るのかどうかを見て、安心したり、不安になるのはあまり賢いとは言えません。

 

従来からテクノロジーに進化によって、なくなっている仕事はあるのです。経営者としては、どんな仕事をaiに任せればいいのかということを考えておく必要があります。

 

 

 

5:すでになくなっている仕事

この15年間で就労者が増えた仕事と減った仕事があります。

 

増えた仕事は、介護の仕事ですが、これは高齢化が進んだ影響だと言えそうです。

 

 

 

一方で、昨今のaiの進化に関わらず、なくなっている仕事はすでにあります。

 

 

参考

 

 

例えば、印刷業界。

 

この記事からも、印刷・製本従事者も16万人減少し、印刷業界は市場規模がピークの1991年には8.9兆円だったが、2013年には5.5兆円にまで縮小していることがわかります。

 

印刷の工程は、

 

・写植という文字を入力する人(1人)

・版下という印刷の版の元を作る人(1人)

 

はコンピューターグラフィックの出現でなくなっています。

 

・写真を色分解し、データ化する仕事(1人)

・印刷の版を作る仕事(1人)

・色の校正を出す仕事(1人)

 

も同様に、デジタルカメラとテクノロジーの進化でなくなっています。

 

つまり、従来5人で行っていた作業が2名でできるようになっているのです。その代わりに、印刷工場では、コンピューターと機械設備が増えています。印刷の工程は価格が下がり、スピードも増しています。

 

これまで5人で5日かかっていた仕事が、1日か2日でできるようになっているのです。

 

このようにテクノロジーの進化によりなくなった仕事は以前からあったわけです。仕事がなくなることは、今に始まった事ではないのです。

 

 

 

6:人材採用が困難になる時代は、aiで人の代用を考える

次に人手不足だと言われている職業を見てみましょう。

 

 

 

参考

 

この表からわかることは、建設業などは人が足らず、事務の仕事は人余と言えます。製造業も同じく、求人倍率が低い傾向にあります。これは人気のある仕事や機械科が進んでいる仕事は人が余っているという結果です。

 

ここで経営者が考えておきたいポイントは、自分の業界や会社は優秀な人材を採用できるかどうかということです。現在ではなく、これから先に人材が確保できない場合、ai化を検討しておく必要があります。

 

経営者は、Aiが人の仕事を奪うのではなく、aiに任せた方が効率的な仕事はaiに担わせると考えておく方がよいでしょう。

 

街中にある自動販売機もaiと言えます。自動販売機があることで、飲料の販売が飛躍的に伸びました。人が販売したとしたら、どれだけの経費がかかるか想像ができません。

 

最近の身近な例としては飲食店のレジがあげられます。

 

タブレットで注文をして、レーンで品が届くのもaiが活躍しています。このテクノロジーでアルバイトの人手不足を解消することができ、スタッフはすし作りに専念できます。

 

 

 

 

ホテル業界では変なホテルがロボットを活用しています。

 

ロボットによる接客を行うことで、少ない従業員でホテルを運営しています。

 

今後、産業ロボットやデータ解析に値段は下がります。ハードディスクがコンパクトになり、現在のスマホサイズで大容量のデータ処理ができるとしたら、ハードの価格は下がります。これは製品コストの削減を意味しますので、中小企業の予算内でaiを使うことができる時代は遠くないと思われます。

 

今後、日本は人口減少に向かいます。労働者の人手不足は必須の条件なので、ai対人という構図ではなく、aiの活用を視野に入れておく必要があります。

 

 

 

7:aiに奪われない仕事は?

ここからは、Aiに奪われない仕事について考えたいと思います。Aiに奪われない仕事とは、人でしかできない仕事です。つまり、経営者として優秀な人材を採用したい仕事と言えます。

 

1:aiを開発する仕事

2:aiを使う仕事

3:aiのコストが下がらない仕事

4:aiの判断をさらに判断する仕事

5:ai化ができない仕事

6:人間にしてほしい仕事

 

となります。

中小企業において、aiの開発はハードルが高いので、2以下の開発されたaiをどのように使うのかがポイントです。

 

すでにおわかりのようにaiは道具です。経営者としては、仕事を円滑にして、社員に負担を軽減し、それぞれの能力を発揮してもらえるように、aiをサポートの道具に使う方法を考えるべきです。そのための情報収集は今からやっておく必要があります。

 

 

 

8:各業界の変化は?

ここからは、業界の変化について考えてみたいと思います。

 

データ、事例を扱う仕事の変化

・医療診断、防犯、株式投資、資産運用のアドバイスはai化する

 

専門サービス

・ヘルプデスクやトラブルシューティングはai化する

 

製造業

・パターンの決まった生産工程はよりai化する

・3Dプリンタで建築やものづくりの効率化はai化する

 

自動運転

・自動車製造、運送業などはai化する

 

広告

・aiによる個人の活動データの収集と分析で、スマートデバイスを通してリアルタイムな宣伝活動を行うことができる

 

農業

・気候変動、需要分析、技術ノウハウはタネの質を分析することで、初心者でも高品質な作物の製造ができる

 

こうした流れは止められません。専門知識や職人の技術はどんどん一般化します。だからこそ、aiを活用したサービスの検討は、すべての業界で必要になるのです。

 

 

9:業態の変化

aiの普及に合わせて、業態自体が変化する業種もあります。

 

例えば、自動運転が実用されたら、自動車保険の枠組みは確実に変わります。

判例をもとに判決を下すなら、陪審員制度の見直しも必要でしょう。

農業に関しても参入の条件を変更せざるを得ないかもしれません。

販売スキームがonetooneになれば、農協の存在価値は何か?

 

こうした変化に経営者は敏感になっておく必要があります。

 

 

 

まとめ

この記事では中小企業の経営者が知っておきたいaiについてまとめました。技術的進歩はめまぐるしいので、「まだ先のこと」と考えるのではなく、自社でaiを活用する方法を考えていただきたいと思います。

ほとんどの企業では、開発の必要ありません。活用の方法を考えた企業が新しいステージに行くのです。

 

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この記事の執筆者

別所諒
・社長の味方コンサルタント
・株式会社経営戦略パートナーズ代表取締役
・心理カウンセラー

著書
「普通のサラリーマンが年収1000万円になる方法」

「がんばっても成果は出ない」

中小企業の2代目社長のサポーターとして、経営、マーケティング、組織開発の相談に乗っている。

 

 

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