ミッション、ビジョン、バリューとはなにか?中小企業に取り入れる方法

 

 

ミッション、ビジョン、バリューという言葉は聞くけど、どういう意味?と感じたことはありませんか?

 

そもそも、経営理念、社是や社訓とはどう違うのか?

ネットで検索をして、他社のミッション、ビジョン、バリューを見ても、自社にどう落とし込めばいいのかがわからない。で、なんとなくそれっぽいモノを作ってみたけど、社内に浸透しない。

もし、そんな風にお考えでしたら、この記事をお読みいただき、自社のミッション、ビジョン、バリューを作成してみてください。

 

 

 

このミッション、ビジョン、バリューをどう思いますか?

 

ミッション→社会を豊かにするための仕事をする

ビジョン→誰もが健康的で安心な生活ができる社会に貢献する

バリュー→安心と安全な食を提供する

 

これがお弁当の宅配会社のミッション、ビジョン、バリューだとして、その会社がおいしく、無添加・無農薬素材を使ったお弁当を提供しているとしたら、企業風土として、ミッション、ビジョン、バリューは定着していると言えそうです。

 

しかし、価格競争に負けないために、安価な食材を仕入れたり、化学調味料を使っているとしたら、単なる建前になってしまうでしょう。

 

ミッション、ビジョン、バリューや経営理念や社是・社訓はあるけれど、機能していない会社は少なくありません。特に中小企業では、自社のミッション、ビジョン、バリューすら知らない社員もいます。それでも仕事をすることはできるのです。

 

ミッション、ビジョン、バリューを知らなくても、通常の業務は廻ります。にもかかわらず、なぜ、多くの経営者がミッション、ビジョン、バリューを作らなければならないと思うのでしょうか?

 

 

 

 

そもそも、なぜミッション、ビジョン、バリューが必要なのか?

 

そもそも、なぜ、企業にミッション、ビジョン、バリューが必要だと言われるのでしょうか?

同じような言葉で、経営理念、企業理念、社是、社訓などは、なぜ必要なのでしょうか?

ミッション、ビジョン、バリューがなくても会社は廻ります。それでも、ミッション、ビジョン、バリューがある方がいいと考えるのは、成長している企業には例外なく、ミッション、ビジョン、バリューが存在するからでしょう。

 

いいミッション、ビジョン、バリュー会社の強い一体感を生み出すことができ、仕事が効率的かつ質の高いものになります。それは、成長企業が証明しています。しかし、ミッション、ビジョン、バリューがあれば企業が成長するのかと言えば、それは違います。

 

 

 

 

いいミッション、ビジョン、バリューとは?

 

3人の石切職人の話があります。

 

旅人は、ある村を訪れました。

村では、三人の石切職人が、作業をしています。何やら、大きな建物を建築しているようです。

 

旅人は尋ねました。

「あなた方は、何をしているのですか?」

 

一人目の男は答えました。

「カネを稼いでいるんだよ」

 

二人目の男は答えました。

「私は、国一番の石切職人になるために、技術を磨いているのです」

 

三人目の男は答えました。

「私は、村人の皆さんの憩いの場所となる、教会を建築しているのです」

 

この話は、P.F.ドラッカーが著書『マネジメント』の中で示しています。

 

お金を稼ぐために石を切っている職人よりも、技術を磨いている職人、それよりも教会を作っている職人志が高いことは容易に想像ができます。もちろん、技術だけを見れば、2番目の職人のレベルが高いかもしれません。しかし、仕事へのコミットという点では、3番目の職人の貢献度が高くなると思います。

 

なぜ、彼が教会について知っているのでしょうか?

それはリーダーが仕事の目的を伝えているからです。

もちろん、高いモチベーションがあっても、職人一人で教会を作るわけではありません。職人には役割があります。また、どのように石を切ればいいのかという基準も必要でしょう。

 

このように考えると、社員に伝えておくことは、

 

・何の仕事をするのか?(内容)→石を切る

・何のために仕事をするのか?(目的)→教会を作る

・どのように仕事をするのか?(価値)→長く村人の憩いの場になるために、美しく、長さがぴったりで真っ平らに石を切る

 

ということになります。

 

これがミッション、ビジョン、バリューだと思います。

つまり、

ミッション→仕事の内容

ビジョン→仕事の目的

バリュー→仕事で提供する価値

 

企業という組織で考えると、仕事の範囲が広がります。必然的にミッション、ビジョン、バリューも大きくなります。

 

石切職人が勤める企業が建設会社であれば、

ミッション→仕事の内容→教会を作る

ビジョン→仕事の目的→街に教会があることで、人々の安らぎの場を提供する

バリュー→仕事で提供できる価値→1000年後に残る教会を作る

となるでしょうか。

 

社員は、自分たちを建設業と言わずに、教会を作る仕事をしているといい、自分たちが作る教会は、街の人々に安らぎを与え、1000年先もそこにあると言うでしょう。

 

他社との差別化になることがおわかりでしょう。

 

このように、ミッション、ビジョン、バリューは企業が存続し、発展をしていく起爆剤になるのです。

 

 

 

 

経営理念、社是、社訓では不十分なのか?

 

うちの会社には、経営理念や社訓はあるけど、どれでは不十分で、ミッション、ビジョン、バリューを作り直したほうがいいのだろうか?そんな疑問をお持ちかもしれません。

 

経営理念とミッション、ビジョン、バリューは同じなのか、違うのか?

 

言葉の定義から考えてみます。

 

理念とは「考え方」です。そう考えれば、経営理念とは経営についての考え方であり、企業理念とは、企業の考え方と言えます。また、社是は会社の方針で、社訓は、社員に行ってほしい行動方針だと言えます。

 

経営理念は、経営者がどのように経営を行なっていくのかという考えですから、企業理念の方が、ミッションに近いと言えます。企業理念には、ビジョンが含まれていることもあります。

 

たとえば、J R東海の企業理念は、

 

日本の大動脈と社会基盤の発展に貢献する

 

これだけだとどのように仕事をすればいいのかという指針がないので、行動指針が付加されています。

 

「日本の大動脈」とは

当社は東京〜名古屋〜大阪の高速大量旅客輸送を担うことを使命としています。「日本の大動脈」とは、この旅客輸送のことを示しています。この地域は日本の経済や文化の中心として重要な役割を果たしているため、大動脈輸送の停滞は、日本の経済・社会全体の動きの停滞にもつながりかねません。当社は東海道新幹線と中央新幹線により、現在も、そして将来も日本の大動脈輸送を担うという使命を果たし続けていきます。

「社会基盤」とは

当社は日本の大動脈と一体的に、名古屋・静岡を中心とした地域に根差した在来線運営とこれらの地域を中心とした関連事業展開を行い、人々の生活を支える、より広い意味では「社会基盤」としての使命も担っています。今後も変わりなく在来線網の運営、関連事業の展開にもさらに磨きをかけていきます。

 

 

また、味の素の経営理念は次のようになっています。

 

私たちは、「食品、アミノ酸系の、日本から出発した世界企業」を目指す

味の素グループの一員です。

私たちは

アミノ酸を中心とした独自の事業を経営の柱とし、活力に溢れた企業を目指します。

私たちは

”食””健康””美”を通して人々のよりよい生活に貢献します。

私たちは

お客様、社会、社員、株主から深く信頼される企業を目指します。

 

ミッション、ビジョン、バリューは経営理念とは定義が違いますが、共有点があります。経営理念を細分化して、明確にわかりやすくしたものがミッション、ビジョン、バリューであると言えそうです。

 

 

 

 

結局、ミッション、ビジョン、バリューは必要なのか?

 

最後にミッション、ビジョン、バリューは必要なものなのかについて考えます。

結論から言えば、ミッション、ビジョン、バリューは必要です。ただし、それが経営理念や社訓でも構いません。

 

入れておくべき要素が3つあり、それが社員に伝われば、さほど形式は重要ではありません。

 

・仕事の内容

・仕事の目的

・仕事で提供できる価値

 

この3つが明確でわかりやすく、社員のモチベーションになる言葉にまとめられていることが大切です。さらには、顧客にも支持されるものであればより良いミッション、ビジョン、バリューだと言えます。

 

船を造りたいのなら

人を呼んで材木を集めさせたり

仕事を割り当て

命じる必要はありません。

 

代わりに、果てしなく続く海への

憧れを説いてやりなさい。

 

これは「Netflixのカルチャー」の最後に引用されている「星の王子さま」の著者アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの言葉です。

 

 

 

まとめ

 

この記事では、ミッション、ビジョン、バリューについて考えてきました。企業は、ミッション、ビジョン、バリューがなくても廻りますが、ミッション、ビジョン、バリューが企業の成長をもたらす原動力になることは確実です。しかし、あればいいというものではなく、社内に浸透させて、ミッション、ビジョン、バリューに沿った行動をすることが重要です。

 

・仕事の内容

・仕事の目的

・仕事で提供できる価値

 

を明確にするために、ミッション、ビジョン、バリューについて考えてみてはいかがでしょうか。

 

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この記事の執筆者

別所諒
・社長の味方コンサルタント
・株式会社経営戦略パートナーズ代表取締役
・心理カウンセラー

著書
「普通のサラリーマンが年収1000万円になる方法」

「がんばっても成果は出ない」

中小企業の2代目社長のサポーターとして、経営、マーケティング、組織開発の相談に乗っている。

 

 

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