これからもビジネスでは、問題解決力が重要になります。
その理由は、成長が見込みにくい時代においては、新しいことを積み上げていくのはリスクが高まるからです。逆に、社内にある問題を解決していく方が、ムダを省くことができ、筋肉質な組織になります。
中小企業においては、社内の問題を解決していく方が、生き残りやすいと考えます。
しかし、問題が分かっていても、簡単に解決ができるわけではありません。
それは、問題の認識と解決策、実行がうまくリンクしていないからです。
この記事では、問題解決の方法論を10のステップに分けて説明します。
目次
問題解決のステップ1:困っていることを言語化する(表層の問題)
最初にやるべきは、困っていることを言語化するということです。要は、問題だと思っていることを言語化するということなのですが、ここであえて、問題を言語化すると言わないのは、この段階での問題が本質的な問題でないことが多いからです。ですから、「困っていること=表層の問題」を言語化します。
たとえば、「会社の売上が下がっている」というようなことです。
問題解決のステップ2:理想の状態を明確にする
多くの場合、表層の問題を言語化して、すぐに解決策を考えがちです。それでは、対処療法にしかならず、根本的な解決には行かないことがほとんどです。
今回は、表層の問題を「会社の売上が下がっている」としていますので、解決策としては、「売上を上げる」ということになります。それができれば苦労しないというのは解決策にはなりません。また、少し売上が上がっても会社の業績が回復しないなら、解決したとは言えません。このように、現状を基準としたボトムアップでは、解決に至らないケースがあります。
ですから、問題解決のステップ2は、理想的な状態を明確にするということになります。
ここでは、理想的な状態を「現状10億円の売上を12億円にする」としましょう。
問題解決のステップ3:理想の状態に辿り着けない理由(問題―障害)
現状10億円の売上を12億円にするために、そこのたどりついていない理由を書き出します。もちろん、理由はひとつではありません。考えられるだけ書き出してみます。
・市場が小さくなっている
・クライアントが予算を絞っている
・競合が大幅な値引きをして仕事を取られている
・新規顧客が増えていない
・価格競争に勝てない
・品質が他社に劣っている
・受注があっても工場に入らない
理想の状態に辿り着けない理由が「問題」です。問題には、内部問題と外部問題があります。外部問題は自社だけでは解決できないことも多く、こちらの問題にフォーカスすると、手が打てなくなります。
問題は内部問題と外部問題に分けます。
問題解決のステップ4:問題の列挙と優先順位
ステップ4では、問題に優先順位を付けます。優先順位には2つの種類があります。
・重要度・・・この問題を解決したら、理想の状態に近づけるという問題
・難易度・・・手をつけやすい問題と手をつけにくい問題
表の左右を見比べて、成果につながりやすい問題を選び、優先順位を決定します。
問題解決のステップ5:問題の問題
ここでは、優先順位を
・新規顧客が増えていない
にしてみます。
さらに、問題を深堀します。
たとえば、「新規顧客が増えていない」という問題の場合、なぜ、新規顧客が増えていないのかを考えます。
・営業マンが新規開拓をしていない
・新規訪問をしても受注につながらない
という一段深い問題が出てきます。
さらに、「なぜ、営業マンが新規開拓をしていないのか?」と深堀します。
・既存顧客の対応が忙しい
・やる気がない
・新規訪問をする提案材料がない
という問題が出てきます。
問題解決のステップ6:解決策―誰がどうなればいいのか?
問題が深堀できたら、解決策を考えます。
新規顧客が増えない原因(問題)は、
・既存顧客の対応が忙しい
・やる気がない
・新規訪問をする提案材料がない
であるなら、
・営業マンの時間を作る
・やる気が出る制度を作る
・提案材料を考える
ということになります。
問題解決のステップ7:実行アイデアー自分は何をするのか?
問題解決で重要なのは、その問題に対して、当事者意識を持つということです。
営業の問題だから営業の責任ということで、その他の人が他人目線になると、当事者の負担が大きくなります。
問題解決のアイデアを出すポイントは、社内全員が当事者意識を持つということです。
問題を解決するために、自分が何をするのかを全員が表明することで、問題が共有されて、解決に向かいます。
問題解決のステップ8:実行計画
ステップ8では、実行計画を立てます。実行計画とは、いつまでに何をするのか?ということです。
・タスク
・担当
・日時
をスケジューリングするということです。
問題解決のステップ9:チェックシート
実行計画を立てたら、チェックシートを作成します。たとえば、売上を12億にするという目標を達成するために、30社新規顧客を増やすという解決法を採用した場合、
・提案書の作成
・新規アポイント
・契約数
など、進捗を確認するチェックシートが必要です。
問題解決のステップ10:評価と改善
実行をしてみて、実際に成果が出たのかどうかを評価します。このまま継続するのか、改善をする必要があるのかを検討します。
まとめ
この記事では、問題解決のステップを10に分けて説明しました。多くの場合、問題が解決できなかったり、中途半端に終わってしまうのは、問題の深堀ができていないことと、解決した状態を明確にしていないことが原因となっています。
問題とは、理想の状態にたどり着けない理由のことを言います。この認識を持ち、優先順位をつけて問題の解決に当たりましょう。