ビジネスを成功させるためには、コンセプトが重要になる。
そのような話を聞いたことがあると思います。ところが、世の中にはコンセプトだと思っているものの、ビジネスに活かすことができないものが少なくありません。
コンセプトを考える際、「自社のコアコンピタンスは?」と聞かれることもあれば、「マーケティングで大切なのはUSPです。」という人もいます。
結局のところ、コアコンピタンスとコンセプトとUSPってどう違うのか?
この記事では、言葉の理解にお困りの方向けに、コアコンピタンスとコンセプトとUSPの違いについて説明します。
目次
儲かり続けるなら、余計なことは考えなくてもいい
企業の目的は利益を出し続けることで、今後もそれができるなら、ややこしいことを考える必要はありません。
要は、儲かっている理由を説明できれば、それがコンセプトだと考えて間違いありません。
一方で、コンセプトを考えても、現実的なビジネスに直結していなければ効果はない。
コンセプトを考える時、「コンセプトとは何か?」という言葉自体の定義に迷うことは、アイデアの妨げになるので、ここからは、コアコンピタンス、コンセプト、USPについての説明をします。
コアになるのは、コアコンピタンス
では、コアコンピテンス、コンセプト、USPに分けて説明をします。
コアコンピタンス
→会社の中心となる技術やスキル
競合他社を圧倒的に上まわるレベルの能力が求められます。ここがすべての出発点です。
コンセプト
→コアコンピタンスを自己紹介に言い換えたもの
USP
→コンセプトをお客さん側の言い方に変えたもの
ということです。
ちょっとややこしいので、具体例をあげますね。
ある美容院のコアコンピタンスは、
「どこよりも早く髪を切る技術とシステム」でした。
コアコンピタンスをコンセプトにすると、
「10分で髪を切り、身だしなみを整える企業」
これをUSPにすると、
「所要時間10分、価格1,000円で散髪ができます」
ということになります。
おわかりのように、QBハウスです。
こうしたコンセプトがあることで、お客さんにとってわかりやすいし、会社が進む方向もわかります。
という話をすると、「なるほど」と思うかもしれませんが、世の中にはコンセプトだと思っているものの、ビジネスに活かすことができないものが多いわけです。
コンセプトは、会社に利益をもたらす
世の中には、コンセプトのようで、コンセプトになっていないものが少なくありません。
次のコンセプトをご覧ください。
野菜
1:無農薬栽培のキャベツ
2:田中一郎さんが有機肥料で育てた1日50個限定のキャベツ
中古車
1:きれいで安い中古車
2:新車と同じ保証がついた中古車
ビール
1:これまでにない味わいのビール
2:ドライ、辛口、できたての鮮度
すべて、2が有効なコンセプトだと言えます。
という話をしたら、誰でもわかると思いますが、
世の中には、
「○○革命」
「最新○○」
「新世代・・・」
というコンセプトのような、コンセプトでないものが溢れています。
コンセプトでないと言ったのは、よくわからないからです。
例えば、
「お客さまごとに合わせてカスタマイズしたサポートができる」というのはコアコンピタンスでも、そのままだと受け手は意味がわかりません。
よく中小企業で、
お客様の要望に応える、
小回りが利く
小ロットから生産する
というコンセプトのような話をすることがあります。
これも、相手からしたら、当たり前であり、よくわからないとなるなら、コンセプトにはなりきれていません。会社に利益をもたらしていないとしたら、コンセプトとして成立していないと考えましょう。
よいコンセプトは、3つの要素を備えている
よいコンセプトは、次の3つの要素を備えています。
・自分の強みが明確
・お客さんのベネフィット
・独自性
結果、お客さんの価値観に変化を与えるのが、よいコンセプトです。
10分で髪を切り、身だしなみを整える企業
→こんなにも安く早く散髪ができる
田中一郎さんが有機肥料で育てた1日50個限定のキャベツ
→安心して美味しいキャベツが食べられる
新車と同じ保証がついた中古車
→故障の不安な車に乗れる
ドライ、辛口、できたての鮮度
→これまでにない美味しいビール
という具合に、よいコンセプトはお客さんの価値観に変化を与えています。
コンセプトを導くための「SWOT分析」
コンセプトを考えるにあたって、「SWOT分析」というツールをお勧めします。
「SWOT分析」とはマーケティング戦略で使われる思考フレームワークの一つです。
Strength(強み) 自社がもつ強み
Weakness(弱み) 自社がもつ弱み・課題
Opportunity(機会) 外部環境にあるチャンス
Threat(脅威) 外部環境にある自社にとって都合の悪いこと
それぞれの頭文字をとり、名付けられました。
この「SWOT分析」をおこなうことで、自社や自社商品・サービスが他社に比べてどんな強みや弱みを持っているかを知ることができます。
ここでは、学習塾を例として分析をしてみます。
人口50万人都市で中学生向けに3教室を開いている学習塾。
近年、大手塾の進出と、価格競争が激化して、
生徒の募集に苦労している。
生徒のほとんどは、口コミで集まっていているが、
少子化の影響で生徒数は減っている。
SWOT分析をしてみます。
通常は、強みに目を向けがちですが、弱みを強みに転化する方法もあります。
ここでの弱みは、
値下げができない
地名度がない
講師の年齢が高い
広告費が使えない
大人数は集められない
この弱みを強みに転化すると、
定額制
知る人ぞ知る
ベテラン講師揃い
経費を抑えて教育にかける
人数限定の塾
コアコンピタンスは、
コーチングと指導力
コンセプトに変換すると、
「志望校合格率100%を目指す塾」
講師のコストを最大限にしているので、
広告宣伝はできないし、
教室の立地もいいとは言えません。
しかし、志望校合格率100%のために、
一流の講師が1クラス10名限定で、
苦手分野がなくなるまで指導します。
苦手意識をなくすコーチングと
苦手なツボを抑える指導法で、
受験当日、
100%の努力をしたと自信を持って、
君は会場に行くことができます。
USPは
「コーチングと苦手科目を得意科目にする指導法で、
君が受験に絶対の自信を持てる授業をする塾」
になります。
・自分の強みが明確→苦手科目を得意にする
・お客さんのベネフィット→苦手科目が得意科目になる
・独自性→コーチングと苦手科目を得意科目にする授業
という具合です。
広告に使うことができるのは、USPとなります。
まとめ
この記事では、コアコンピタンスとコンセプトとUSPについてお話をしてきました。まずは、それぞれの意味を理解してください。
コアコンピタンスとコンセプトとUSPは一体です。順序立てて、考えることで、自社の強みを見込み客に伝えることができます。