中小企業の人材育成に必要な3つのことと仕組みの作り方

 

企業は人材が大切だと言われます。本当でしょうか?

 

確かに、優秀な人材がたくさんいれば、他の会社に勝てそうな気がします。しかし、問題は優秀な社員とは何か?を定義できているかどうかです。

 

学歴の高い人が優秀でしょうか?

論理的に話をするけど、行動しない人は優秀でしょうか?

自主性があっても、社長の言うことを聞かない社員は必要ですか?

 

「人材育成は大切」

 

この考えに異論はありません。

しかし、人材育成の方法を間違っている中小企業が多いと感じます。この記事では、中小企業のコンサルタントが、中小企業に必要な人材育成についてお話しします。

 

 

頭のいい人は中小企業には行かない

大前提をお話ししますと、ほとんどの中小企業で優秀な人材に入社してもらうことは不可能です。

 

大学生の就職人気ランキングを見ても、上位は軒並み大企業です。不況になれば公務員に人気が高まります。

 

頭のいい人は、人生設計がしっかりしていて、目標もそれなりに高く、安定志向です。要は、潰れない会社で、待遇が良くて制度が整い、教育もしてくれて、好きな仕事ができるというのが理想です。

 

だとすると、中小企業には見向きもしません。これは当たり前のことです。中小企業に入社してくるのは、大企業に入れなかった人で、中途採用は大企業で出世ができなかった人になります。

 

 

頭のいい人が入社したくなる会社にする方法

中小企業でも、優秀な人を採用し、人材育成に成功している会社もあります。それらには、特徴があります。

 

1:将来性のあるベンチャー企業であること

 

ゲーム分野などは、新興企業が一気に大きくなることがあります。こうした業界では、野心のある優秀な人を採用できることがあります。

 

2:社長のブランディングができている

 

書籍を出したり、テレビに出ている社長の会社は、魅力的に見えるので、優秀な人を獲得できることがあります。以前、アダルトビデオ業界の社長がテレビ出ると、新卒の応募者が増えたという話があります。

 

3:社会貢献やロマンがある

 

宇宙開発、バイオ、再生エネルギーなど、地球の未来を創造する業種は、使命感の強い人を採用することができます。また、社会問題の解決に取り組んでいるNPOにも優秀な人材を採用することができます。

 

4:会社をピカピカに見せる

 

オフィスのデザインや社員の待遇など、外から見た印象をよくすることで、優秀な人を採用することができます。ワイキューブという会社では、社内にワインセラーやビリヤードを置き、高級ホテルのようなエントランスにすることで、一時期、就職人気ランキングで上位に入りました。その後、倒産しています。

 

ということで、優秀な人を採用する方法はあります。しかし、ほとんどの中小企業では、そんなことはできません。

 

・特に魅力のない業界

・既存社員は普通の人

・待遇が良いわけではない

・オフィスに投資する資金がない

・社長のブランでイィングができていない

 

からです。

 

 

大企業との格差を広げる教育制度

大企業の現場に入っていると、教育システムが整っていることがわかります。

 

新入社員研修に3ヶ月

OJTで半年

フォロー研修で一週間

2年目研修

3年目研修

マネージャー研修

 

から

 

プレゼンテーション研修

コミュニケーション研修

ロジカルシンキング研修

 

というスキルアップまでの教育が行われています。

 

一方で中小企業の研修は、それなりにしっかりしたところで、新入社員研修を行っていますが、後は現場任せです。現場の管理職も部下の育成方法を学んでいないので、自分のやり方を教えるしかありません。

 

優秀な人に優秀な教育をするので、大企業と中小企業の人材格差はどんどん大きくなります。

 

 

 

人材育成の目的は自主性?

大企業で行われている教育の目的は、自主性のある人材を育成することです。

 

ある大手銀行が、「当社らしくない人材を求める」と宣伝したところ、採用されたのは、既存行員と違い資質や性格の学生だったということです。大企業の多くは、ルールが厳格に決められているので、ルール通りの仕事をします。特に、社歴の長い会社は、リスクを取る社員が少なくなります。

 

個性に乏しく、斬新な発想はないことに物足りなさや将来の不安を感じる経営者は、自主性のある人材を求め、既存社員にも自主性を発揮させる教育をします。

 

 

 

中小企業で必要な人材は?

ここで中小企業の経営者が考えるべきは、大企業に負けない人材を採用し、育成して行くのか、会社を存続させるための人材を育成して行くのかという方向を決めることです。

 

私は、後者をお勧めしています。そもそも大企業と中小企業では、人材の質が違うので、競争をすること自体がナンセンスです。

 

また、人材の質に依存せずに、業績をあげている会社もあります。

 

 

ファーストフード店などは、マニュアルを浸透させることで、アルバイトでお店を回しています。

 

東京にある居酒屋グループは、不登校の経験者を採用しています。彼らがやることが仕事中に元気でいることだけです。お客さんに気持ちよく対応する、これだけです。

お店は、「元気をもらえる」というお客で賑わっています。

 

経営者は彼らに自主性を求めていません。ルール通りに仕事をしてくれればいいのです。たった一つの条件は、明るく仕事をするということだけです。

 

実はこの点がとても大切で、中小企業の場合、社員の質よりも、社長がどう社員を動かすのかで業績が決まります。

 

はっきり言うと、社長だけが優秀であれば、優秀な社員は必要ないのです。

 

中小企業に必要な人材は、

 

明るい人

よく働く人

言ったことをやってくれる人

文句を言わない人

 

です。

 

 

 

中小企業の人材育成は大企業と違う

大企業の人材育成が自主性を育てることだとしたら、中小企業の人材育成は、社長の言ったことを素直に実行する人を育てることになります。

 

中小企業に創造性はいりません。社長のいう通りに仕事をする中で、少しの工夫があればいいのです。

 

自主性があっても、社長の考えと違うことをやられたら、面倒が増えます。

 

もし、自社の社員に自主性が足りないと思うなら、根本的に人材育成についての考えを改める方が賢明です。

 

 

 

何を教育するのか?

では、中小企業の人材育成で、何を教育すればいいのかと言う話をします。

 

1:仕事の内容

 

会社は「作る」「サービスする」「売る」という3つの仕事で成り立っています。それぞれの仕事をお客さんの満足するレベルになるように教育をします。

 

【教育方法】

マニュアルを作成し、できるように先輩が指導する。

 

2:社長の考えを理解させる

 

社長が何をして欲しいのかを徹底して伝えます。例えば、「お客様を大切にせよ」という話だけでは、社員は実践しません。「ありがとうございます。」と言ってから電話に出る、廊下では立ち止まって「いらっしゃいませ」と言うなど、行動を教育します。

 

【教育方法】

社長が取材する勉強会を定期的に開催する

 

 

3:職場のムードをよくするスキル

 

職場のムードは大切です。職人肌の上司は、ぶっきらぼうだったり、きつい言葉を使うことがあります。それでやる気に出る体育会系の会社なら構いません。しかし、部下によってはやる気をなくしてしまうことがあるなら、人によって指導方法をかえる技術を学ばせる必要があります。

 

【教育方法】

外部のコーチングやコミュニケーションの専門家の研修を実施する

 

 

 

勉強する仕組みを作る

大企業と中小企業の最大の人材格差は、勉強の習慣です。大企業の人は、勉強をしている経験があります。ですから、勉強をすることで成績が伸びることを知っています。仕事でも同じで、勉強すれば仕事の能力が上がることを知っているので、勉強をします。

 

一方で、中小企業の人の多くは、勉強をしていないので、社会人になっても同じです。

 

ここでがっかりする必要はありません。

 

教育にはお金がかかるものだと認識すればいいのです。お子さんの進学のために学習塾に行かせた経験がある人は、社員にも同じことをすればいいのです。

 

勉強させるためには、投資が必要です。

 

目的意識の高い人は、自分で本を買い、読みます。目的意識の低い人は、本を買うお金をもったいないと思うのです。この考えを変えることはできません。

 

勉強しない人には、ご褒美が必要なのです。

 

本を読んだら500円の手当を出す。

もちろん、本も会社が買ってあげます。

 

社長の勉強会に出たら1,000円、研修に出て、レポートを出したら1,500円などの仕組みを作ります。逆に、勉強しなかったら、ボーナスから引くという仕組みにしておけば、社員は勉強します。

 

この時に、大切なことは、色んなことをやらないことです。一度言えば理解できる人は優秀です。そんな人はいないと思って、同じことを何度も話します。

 

中小企業の人材育成は、社長の話を理解できるまで何度でも教えるということなのです。

 

 

 

社員に経営者意識を持たせる方法

社長と話していて、よく話題になるのは「社員に経営者意識を持たせたい」ということです。

 

結論から言えば、無理です。

 

経営者意識のある人は経営者になっています。

 

社員に経営者意識を持たせるためにも仕組みが必要です。

 

1:仕事の目的を明確に伝え

2:目標を設定し

3:範囲を決めて権限を委譲し

4:評価をボーナスに連動させる

 

評価とボーナスを連動させることで、社員は必然的に経営者意識を持つようになります。家庭に戻れば、それぞれが家庭を支える経営者だからです。

 

注意したいのは、ボーナスの増減を大きくしないことです。10%いないを基準としてください。

 

大きな増減を施すと、社員が安心して仕事ができず、社内の協力体制が乱れます。少額での効果はあります。社員は少しでも給料が欲しいし、少しでも減るのが嫌なのです。

 

 

 

まとめ:教育が必要なことがあるとしたら?

ここまで、中小企業の人材育成について話をしてきました。

 

中小企業において必要な人材は、

 

明るい人

よく働く人

言ったことをやってくれる人

文句を言わない人

 

です。

 

教育するべきは、

仕事のスキル

社長の考えの理解

やる気を維持する

 

ということになり、

 

補足的な要素として、部下のやる気を引き出す上司がいれば安定です。この点だけは、人間についての理解を深くするために、コーチングを学ばせる必要があります。

 

 

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この記事の執筆者

別所諒
・社長の味方コンサルタント
・株式会社経営戦略パートナーズ代表取締役
・心理カウンセラー

著書
「普通のサラリーマンが年収1000万円になる方法」

「がんばっても成果は出ない」

中小企業の2代目社長のサポーターとして、経営、マーケティング、組織開発の相談に乗っている。

 

 

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