「若手と中堅社員が育たず、やめてしまうので、ベテランが実務をやっている。」
若手社員が育たず、離職率が高いために、社内が高齢化していることは、多くの中小企業の社長の悩みとなっています。
特に地方の製造業では、求人を出しても、若手社員の応募は少なく、ベテラン社員と派遣、外国人の労働力が頼りとなっています。
仕事に慣れたベテラン社員はそつがないので、表面上は問題がないように見えます。ですから、手を打つのが遅れがちです。しかし、早く手を打たないと大きなリスクも待ち構えています。
この記事では、社員の高齢化に潜むリスクとその対策を考えます。
目次
若手社員が辞めてしまう会社のデススパイラル
若手社員を採用しても、仕事を覚える前にやめてしまう。
厚生労働省の調査では、新社会人の3人に1人は入社3年以内にやめると言うデータがあります。
3人に2人が残ればいいのですが、中小企業の場合、採用が一人になったりしているので、若手が一人やめると言うのは大きな痛手です。
結果、入社10年目の社員は若手の部類になり、20年以上のベテランが現場の実務をこなしている状況になります。
ベテランは業務を確実にこなすので、問題はないように思えますが、デススパイラルに足を踏み入れていると言えます。
高齢化と言うと、60歳以上を連想するかもしれませんが、50代が会社の実務を担当している場合は、すでにリスクを抱えています。
社員が高齢化するリスク
ここからは、社員が高齢化するリスクについて、具体的に考えてみます。
1:病気による離脱
歳を取ると、健康問題が発生します。ベテラン社員になるほど、病気になるリスクは高くなります。特に、不規則な生活を長年続けている社員は、太りやすく、すでに健康上の問題を抱えているかもしれません。
社員が高齢化すると病気による離脱のリスクがあります。
健康診断を受けていても、「時すでに遅し」になるかもしれません。
2:他の人がわからない仕事内容になっている
ベテラン社員というのは、自分の仕事のやり方を持っています。そのやり方が社内で共有されていない場合、病気などで離脱すると、他の人がサポート出来にくくなります。
3:スピード感がなくなる
歳を重ねて頭の回転が早くなることは少なく、体も動きません。若い頃と比べてスピード感がなくなります。経験で補うこともできそうですが、体を動かす仕事の場合、パフォーマンスが下がります。
4:センスのいい会社に見えない
若手を育成している会社と比較して、ベテランが多いと、悲しいかな、センスのいい会社に見えません。クライアントの部長が30代で、あなたの会社の係長が40代後半だとすると、スマートさに欠けます。また、若い発注者の場合、ベテラン社員と仕事がやりにくいと感じる人も出てくるかもしれません。
ますます、若手社員の採用が難しくなっていきます。
5:会社を変化させにくい
歳を取ると頑固になり、長年の経験を重要視するので、社長が新しい方針を打ち出しても社内に浸透しにくくなります。優先順位を自分の基準でつけるので、社長がやってほしいことが後回しになることがあります。
6:仕事が頼みにくい
年下は年上の社員に仕事を頼みにくいものです。特に、嫌な顔をしたり、忙しさを全面に出しているベテランにはなおさらです。結果、分業ができず、効率の悪い仕事をしていることがあります。
7:最新の仕事が入って来にくい
ベテランばかりだと、最新のテクノロジーを使ったり、斬新な発想の仕事の依頼が少なくなります。経験が価値になっている間はいいのですが、テクノロジーに進化に遅れると仕事が激減することがあります。
8:最新設備が導入できにくい
頭の柔らかいベテラン社員だといいのですが、頭が硬いと最新の設備を使うことができません。パソコンのソフトなども、古いバージョンのものを使っていると会社自体のレベルが下がって見られます。
9:退職による人員不足
50代以上のベテランが多いと、定年退職が相次ぎます。昨今では生活のために定年を延長したり、嘱託で仕事をすることもありますが、責任感という点では希薄になりがちです。そのまま退職をした場合、人手が足りなくなる恐れがあります。
10:後継社長が苦労する
事業承継を考えている場合、ベテラン社員が多く、新社長よりも年上の場合、新社長は彼らの扱いに苦労します。新社長に対して、「経験は自分たちが上」と考えている社員は、新社長の指示を素直に聞きません。
社員の高齢化に対する3つの対策
ここからは、社員の高齢化によるリスク対策について考えます。
1:若手を採用する
まずは若手を正社員で採用することが大切です。試用期間などを設けてリスクを避けようとすることがリスクです。優秀な若手人材を採用するのは、高齢化した会社では難しくなっているので、若手を育てる意識で正社員として採用することをおすすめします。
中小企業は「即戦力」を目的として経験のある中途採用を実施します。しかし、優秀な人材は転職をしないので、面接にやってくることはありません。結果、経験はあるけどポテンシャルの低い人材を採用してしまいます。
優秀な経験者が採用できればそれに越したことはありません。それが難しい場合は、若手を採用します。彼らは色がついてないので、教育がしやすくなります。
採用の基準は
・礼儀正しいこと
・素直であること
であり、
スキルは、あればいいというように優先順位を下げてください。
2:若手を育成する文化の醸成
若手を採用したら、若手を育成する文化を作って行きます。
ベテラン社員の実務の実績だけを評価すると、若手の教育は彼らにとって負担になります。また、自分たちが「見て習え」という教えを受けている場合は、若手社員にも同じことを強要します。
今の時代、若手は育てなければ育たないと考える方が正解です。
若手社員の教育と育成をベテラン社員の評価に加えましょう。
3:ベテラン社員に敬意を表する
ここまでベテラン社員が害のような書き方をしましたが、会社を支えてきたのも、現在会社を支えているのも彼らです。ベテラン社員には、敬意を表しましょう。
間違っても、社長や上司が「今度の新人は優秀」などと言ってしまうと、ベテラン社員は新人を敵対視して、育てようとは思わなくなります。
まとめ
この記事では、社員が高齢化する会社のリスクについて考えました。社員が高齢化することでリスクは大きくなるので、すぐにでも、若手社員を採用し、育成することが大切です。会社は若返りに時期が必要ですが、一方で、ベテラン社員が会社を支えていることに感謝することも忘れてはいけません。
社長は円滑な世代交代ができる仕組みを作ってください。