御社の給与は他社と比較して、いかがでしょう?
社員のモチベーションを高めて、いい人材を採用しようと思うなら、給与は高いほどいいです。しかし、給与が高いからと言って、社員が一生懸命に仕事をするとは限りません。さじ加減は難しいですね。
この記事では、様々な平均を用いて、社員の給与について、業種ごとに適正な給与のラインを考察してみます。
目次
サラリーマンの平均給与は?
給与とは、月給、手当て、賞与を含んだ金額を言います。国税庁の調査を見ると、下の表のようになります。
図1
サラリーマンの平均給与は、全体で男性577万円、女性279万円となっています。全体平均で467万円です。
この記事では、総合職として仕事をする人材を基準に給与について考えますので、男性の平均給与(577万円)を元に話を進めます。
正社員の平均年齢は男性が44.9歳、女性が43.4歳というデータがあります。
ここから読み取れるのは、あなたの会社の平均年齢と給与の関係です。男性平均年齢44.9歳で給与577万円が軸を軸とします。
例えば、総合職の社員が20人いて、平均年齢が44.9歳の場合、平均給与が577万円だと人件費の総額は、1億1540万円です。これが平均です。平均年齢が高ければ、総額は増えるし、低ければ総額は少なくなる傾向です。平均年齢が低く、給与の水準が高ければ、給与条件のいい会社になります。
効率的な経営を考えれば、年齢が若く、第一線で仕事ができる社員が多い方がいいでしょう。つまり、若手の社員を回転させ続けることができればいいのです。しかし、熟練したリーダーが育たないと仕事のレベルが上がりません。また、長く勤めてくれている社員を切るわけには行きません。ここが難しいところです。それでも、人材は、若手の採用と育成が重要になることには違いがありません。
年齢による給与のカーブは?
図1の平均給与を年齢階層別にみると、男性はでは50~54歳の階層(737万円)までが右肩上がりで、それ以降は下降しています。一方で、女子では年齢による上昇はありません。これは出産や育児の影響、または総合職、管理職への登用が少ないことがわかります。
このカーブから読み取ることができるのは、54歳までが管理職としてのピークで、それ以降は主要なポストを交代しているということです。主に大企業の場合、55歳以降は、役員に昇格する人とラインを外れる人に分かれるということでしょう。
中小企業において、55歳以上で各部門の部長を務めている人が多い場合は、高年齢化していると言えます。また、実務の機能を部下が果たしている場合、55歳上の役職者は、会社の負担になっている可能性があります。思い切った若返り人事を検討してはいかがでしょう。
業種別給与は?
ここまでは、平均給与について見てきました。しかし、業種によって平均給与は違います。
平均給与を業種別にみると、最も高いのは化学工業の568万円、次いで金融保険・不動産業の558万円となっており、給与の最も低いのは農林水産・鉱業の298万円となっています。
業種全体の平均は、467万円というデータがあります。このデータは男女を合わせたデータなので、総合職の平均は、同じく577万円だと推定できます。
平均の467万円を男性(総合職と想定)577万円の差は、1.235となります。この数字を上記の平均給与の表に掛けると、
この表から自社の給与体系がどの程度なのかがわかりますね。
賞与の割合が約20%となります。賞与は保証しているものでないとは言え、業績不振などで賞与をカットするのは、社員にとって大きなダメージになります。
企業規模別(従業員数)の平均給与
企業規模と平均給与を見てみます。男性従業員数ごとの平均給与は下記のようになります。企業規模が大きくなるほど平均給与も高くなる傾向が読み取れます。
あなたの会社の給与水準と比較してみてください。
また、企業規模が大きくなるほど、ボーナスの割合も大きくなっていることはわかります。
給与の伸び率は?
ここでは、男性給与の伸び率を示します。ほぼ横ばいですが、平成29年は2%上昇しています。少しでも給与が上がるということは、社員のモチベーションになりますので、安易に現状維持を決定するのでなく、少しでも上積みする方法を考える必要があります。
図1から33歳男性の平均給与は513万円、37歳男性589万円とすると、差額は76万円。年間15.2万円の給与アップとなります。これまで2〜3%上がってきた給与は上がり幅が少なくなっていることがわかります。
都道府県別の給与水準は?
事業所のある地域によっても給与水準は違います。ここでは、全国の平均月収をデータ化します。東京を中心とした関東の経済圏と大阪、京都が高い水準となっています。
出典データ
役職ごとの給料は?
係長、課長、部長の月給はどうなっているのでしょう?
残業と給与の関係
仕事をするのは給与だけではありません。残業が少ないということも条件のひとつです。
次は、残業についてリサーチをしてみます。
働きがい研究所のレポートを参考にすると、
現在の労働基準では、過労死ラインは80時間(月に20日出勤とすると、1日4時間以上の残業・12時間労働)とされています。
全体の平均残業時間は、20時間―40時間が全体の41.2%となっています。
残業に関しては、残業代を給与とみなして生活を設計している社員もいるので、必ずしも否定的なものではありません。しかし、裁量労働制やみなし残業の社員は、時間を超過していることが多く、割に合わない印象を持っているかもしれません。
給与水準が低く、残業時間が多い業種は、コストパフォーマンスの悪い業種として、人気が低くなる傾向があります。また就職ランキングで上位でも、離職率が高くなっていることも少なくありません。
給与水準が低く、残業が多い会社では、社員はきついで感じているかもしれません。最前線の社員の残業時間が月40時間を超えているとしたら、削減の方法を考える必要があります。
残業をしている人の年齢は?
同じく、働きがい研究所のレポートを見た時、残業をしている年代についても記載をされています。
残業時間は20代、30代の前半が多く、30代の後半から少なくなる傾向となっています。これは体力面を考慮してのここと、管理職となり、現場仕事から離れていることが原因と考えられます。
逆に、40代以上が現場の第一線で仕事をしており、残業時間も多くなっている中小企業では、若手が育っていない問題を抱えていると言えます。5年後、10年後には存続が危うくなっているかもしれません。
経営者がやるべきこと
給与について、経営者はどのように考えればいいでしょうか。
結論から言えば、社員の給与を増やしていくことを考えるべきです。
そのために、
・給与を増やすための売上を作る
・次のビジネスモデルの構築
・モチベーションが上がる仕組みを作る
・社員が納得する給与システムにする
・社員の若返りのための採用を行う
・女性の活用
ということになります。
業績が厳しい中小企業において、こうしたことを実行していくことが簡単ではないことは理解しています。だからこそ、経営者は常に前を向いて先頭に立たなければならないのです。
この記事では、平均給与から、経営者は社員の給与をどう考えればいいのかのガイドラインをお伝えしました。