利益を出すためにコストダウンをする8つの手順

 

 

競合に勝ちやすい戦略は、コストリーダーシップ戦略だという話をしました。

「低価格で勝つ!コストリーダーシップ戦略の6つのステップ」

 

しかし、単なる値下げは利益を圧迫するだけです。

合理的にコストダウンをすることで、会社の収益は改善します。

 

この記事では、合理的にコストダウンをする方法について考えてみます。

 

 

コストダウンすることで競争に勝つ

現在、圧倒的な競争力を持っている企業は、ほぼ例外なく、低コストで製造し、販売を一貫するSPAモデルを採用しています。

 

ユニクロやサイゼリヤ、ニトリが代表格です。他にも、アイリスオーヤマは直販をしていないものの、低価格戦略に成功し、販売店へのアドバイスを行うことで、同様の機能を持っています。安くいいものが製造できるということは大きな武器なのです。

 

 

 

コストを構成するもの

企業にとって、品質を落とさずにコストダウンをすることは、強い競争力を持つことになります。

 

価格を下げる=製品の価値が上がる

 

なのです。

 

コストダウンをするために、コストの内容から見ていくことにします。

 

コストとは、

大きく

1:原材料費

2:労務費(人件費)

3:製造経費(外注加工費、消耗品費、水道光熱費など)

4:物流費

5:固定費

の5つに分けることができます。

 

この5つの項目を減らすことが、コストダウンにつながる要因となります。

 

しかしながら、むやみにコストを減らすと、さまざまなデメリットが生じます。

 

原材料費を下げるために、協力会社に値下げの要求をすると、取引を縮小されたり、場合によっては断られることもあります。また、無理な人員削減をした場合、納期遅れや品質管理、品質基準の低下を招くことがあります。

 

それぞれ、慎重にコストを考える必要があります。

 

 

 

内製化できるものを外注するものを分ける

コストを見直す第一歩は、内製化できるものと外部に委託するものを分けるということです。

 

内製化できるものは内製化しておかないと製造経費は上がり、社内の生産性が下がります。

繁忙期の生産が間に合わず、外部委託したものが閑散期になってもそのまま発注され続けているものはないでしょうか。社内の仕事量が増えないので、スタッフは効率的に仕事ができていると思いがちですが、実は、社内の生産性が下がっていることがあります。

 

製造経費を下げるとは、社内の生産性を上げることです。まずは、無駄な作業を徹底的に検証し、社内の生産性を向上させる方法を考えます。

 

 

 

職場の整理整頓が生産性を向上させる

無駄な仕事をしている可能性が高い職場は環境に表れます。無駄なものが多く、整理整頓がされていない職場は本来に生産性が発揮されていないことがあります。

 

例えば、不要なものが置かれている。発注用のカタログなどは、1冊あればいいはずですが、数冊ある。さらに、昨年のものが捨てられずに残っているなどです。他にはモノの置き場が不明確でスタッフが探している時間も無駄です。

 

書類やパソコンの中にデータが溜まっているなど、作業効率を下げる要素はたくさんあります。まずは、環境を整備してみます。その際のコツは、「捨てる」ということです。

 

生産性を上げる職場環境はモノの最適化です。そのために不要なモノを捨てることがコツになります。

 

職場環境が乱れる理由は、モノを捨てることができないことです。

 

捨てられない理由は、

 

・もったいない

・何かあったら困る

・まだ使える

 

しかし、この意識が生産性を下げているのだという認識をして、モノを捨てる習慣を社内に根付かせましょう。

 

 

 

サイゼリヤに学ぶコスト削減方法

モノの最適化ができたら、作業を見直します。

 

サイゼリヤでは、作業のセグメント化が行われているようです。サイゼリヤは一人のスタッフがキッチン・フロア両方で働く事が求められ、その結果店内状況に応じて柔軟に人材配置が出来るよう工夫されています。

 

人材を配置するには、そもそも配置する作業対象を把握することが必要です。ABCという作業工程がある場合、Aの作業が速く、Bが遅ければ、AとBの間に在庫がたまり、Cは仕事の手が空きます。このようなことにならないように、スタッフは臨機応変に複数の仕事ができることが望ましいと言えます。

 

また、サイゼリヤでは、店内の清掃に掃除機ではなくモップが使用されているようです。モップは通路のサイズに合わせているので、片道で床拭きができます。

 

このように従来の仕事のやり方を見直すことも大切です。

 

 

 

ソフトバンクに学ぶ無駄の省き方

仕事のやり方を見直すにあたっては、ボトムアップの仕組みが有効です。

 

ソフトバンクグループの米スプリントは長く不振が続いていましたが、2015年度に9年ぶりの営業黒字に転換しています。年2000億円規模のコスト削減を重ねた成果が出たと言われています。

通信回線のデータ通信速度が向上して回線契約数が伸びた結果もありますが、コスト削減も効果を発揮しています。

 

スプリントのコストダウンの方法は、どれだけ細かいことでも、とにかくコストダウンになることは紙に書き出します。それを1つずつ潰していくことが結果的に大きな改善を生み出しました。どれだけ小さなことでもいいので「とにかく1,000個書き出してみる」ことから始めたようです。

 

スタッフから「無駄なコスト」のリストを集めることで、多くのアイデアが集まります。

 

 

 

ユニクロに学ぶ固定費の削減

ユニクロの中国は高い業績を上げています。国土が広い中国大陸では、地域によってニーズが異なります。そのため、各店舗が気候や地元のニーズに合わせた商品構成をつくり上げる「個店経営」を実践しました。その結果、無駄な在庫が減り、利益率が改善しています。また、週ごとに各店舗と本部が課題を一緒に考え、解決を図ることで、店舗の経費比率を下げることができました。

 

他には、新店の家賃交渉の見直しや物流の仕組みを根本的に変えるプロジェクトにより、本部の経費を削減できています。

 

 

 

ニトリに学ぶトータルコストダウン

秀逸な生産体制によって、低コストで良品を製造している会社がニトリです。

 

ニトリでは、

 

1:商社を通さない原材料の調達

2:自社品質基準を満たした海外工場の選定

3:社員が常駐し、品質を管理

4:資格制度による品質基準の向上

5:自社物流システム

6:店舗開発

7:広告宣伝の内製化

 

が行われています。

ニトリのビジネスモデル

 

最終的な目標としてベンチマークしたい企業です。

 

 

 

仕入れ先の見直し

社内の無駄を削減できたら、次は原材料の調達方法を見直します。長くお付き合いをしている仕入れ先は安定しているものの、コストダウンの余地があるかもしれません。

 

複数会社購買を実践していると思いますが、他の会社からの見積もりを取ることをおすすめします。特に、業種によっては、価格が大きく下がっている場合もあるので、「慣れ」には落とし穴があるかもしれません。

 

 

日産に学ぶコストダウン法

カルロス・ゴーン氏は強烈なコストダウンで日産を立て直しました。

 

その手法の入り口は、系列破壊による取引業者の見直しです。

しかし、これでは何なる下請け企業への圧力でしかないので、後の後に、日産とサプライヤー側の両者で議論をしながら工程や材料の見直しなどを行うようになっているようです。

 

サプライヤーからの提案でコストが下がれば、一定額をサプライヤー側に次の開発投資へのインセンティブとして提供しています。この仕組みにより、取引先との共存共栄を図る方針が確立されています。

 

こうした取り組みは、「トヨタ自動車の生産調査部をイメージした活動」のモデリングだと言えます。生産調査部とは、カンバンシステムなどトヨタ生産方式(TPS)を伝授する部隊で、下請け企業に入り込み、コスト削減に一緒になって取り組んでいます。

 

他にも、過剰品質の緩和することで、コストダウンをしています。また、ルノーとの提携による部品の共同購入などのコストダウンの施策が実施されています。

 

 

 

コストダウン意識を社内で共有する

コストダウンを実現するに当たって、社内で意識を統一することが重要です。

 

社内で意識を共有する手順は次のようになります。

 

1:危機意識を共有する

 

2:具体的なコストダウン数値を決める

 

3:目標達成の期日を決める

 

4:各部署で責任者を選出する

 

5:各部署からアイデアを集める

 

6:実施

 

7:検証

 

8:評価

 

コストダウンに成功して利益が出たら、スタッフに還元することを忘れないようにしてください。

 

 

 

まとめ

この記事では、コストダウンをする方法について考えてきました。コストリーダーシップ戦略で成功している企業がやっていることも紹介しました。御社で取り入れることができる点は取り入れてください。

 

 

 

 

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この記事の執筆者

別所諒
・社長の味方コンサルタント
・株式会社経営戦略パートナーズ代表取締役
・心理カウンセラー

著書
「普通のサラリーマンが年収1000万円になる方法」

「がんばっても成果は出ない」

中小企業の2代目社長のサポーターとして、経営、マーケティング、組織開発の相談に乗っている。

 

 

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