創業から10年以上が経過して、好調だった売上が横ばいか、下降している。
このように、売上不振で業績が低迷している会社には共通した理由があります。
「売れていたものが売れなくなっている」
実は、これが大問題です。
ジリ貧のまま、会社の業績はどんどん悪化します。
この記事では、売上不振によって業績が低迷している会社に起こっている22の原因と対策を考えます。
目次
- 1 売上不振の3つの原因
- 2 業績低迷の21の原因
- 2.1 1:品質が下がっている
- 2.2 2:作業の手順が守られていない
- 2.3 3:営業マンのサボり
- 2.4 4:会社の価値を下げる営業トーク
- 2.5 5:新規開拓をしない
- 2.6 6:厳しい仕事を断っている
- 2.7 7:高いままの仕入れ価格
- 2.8 8:非効率な仕事
- 2.9 9:指示待ちの社員
- 2.10 10:ベテラン社員のパワハラ
- 2.11 11:若手社員の教育不足
- 2.12 12:雑談のような会議
- 2.13 13:重要プロジェクトの棚上げ
- 2.14 14:職場環境の悪化
- 2.15 15:接待を受けている担当者
- 2.16 16:経費の垂れ流し
- 2.17 17:役員の仕事ぶり
- 2.18 18:社長を裸の王様にする噂話
- 2.19 19:雑な手配
- 2.20 20:クレーム隠し
- 2.21 21:設備の老朽化
- 2.22 22:社員の高年齢化
- 3 売上不振を打開するために社長が取り組む7つのステップ
- 4 まとめ
売上不振の3つの原因
創業してすぐに潰れてしまう会社は、そもそもニーズないビジネス分野かマーケティングの活動が不足していることが原因です。
ここまでは「起業力」が足りなかったということです。
しかし、創業10年以上が経っていて、黒字ができていた企業の業績が下がっているのは、「市場の変化」と「経営」に問題が発生している可能性があります。
早急に手を打たなければどんどん業績は悪化します。しかし、業績が悪化している理由には共通点があり、すでに解決策も提示されているので、この記事を参考に経営の立て直しをしてください。
では、売上不振に陥る3つの原因から見て行きます。
1:市場の縮小
レコードがCDになり、ダウンロード配信に移行したように市場自体が小さく夏ことで、売上が下がることがあります。この場合は、新しい市場に参入する必要があります。
事例1:富士フィルム
本業の写真フィルム事業がデジタル化により市場が縮小しましたが、技術を生かして、医療やライフサイエンス分野に軸足を移しました。
事例2:ブックスキャン
合同会社大和印刷は出版市場が低迷する中、書籍のスキャンとデジタル化という事業を開始しました。従来の印刷は、データ→紙となっていますが、ブックスキャンは紙→データという逆のフロービジネスモデルを構築しています。
2:強力なライバル
後発の強力なライバルの出現で、売上を取られてしまうことがあります。
かつて破竹の勢いで成長していた居酒屋チェーン「ワタミ」の業績が低迷し、一方では280円均一の焼き鳥チェーン「鳥貴族」が大躍進しています。
また、ライバルは同業者とは限りません。印刷業界では、従来の営業マン主体のサービスに対して、インターネットを活用した格安印刷サービスが市場を拡大しています。ネット印刷事業のラクスルは、印刷業ではなく、IT企業だと言えます。
事例1:株式会社ミクシィ
ソーシャル・ネットワーキング サービス「mixi」はfacebookに押されて、メディアとしての地位を落としました。しかし、RPG「モンスターストライク」などのソーシャルゲームで復活しました。
事例2:マツダ
トヨタの5チャネル戦略を(トヨタ店、トヨペット店、ネッツ店、カローラ店)を真似て、5チャネル戦略に出たのがマツダ(マツダ店に加え、ユーノス店、アンフィニ店、オートザム店、オートラマ店)でしたが業績は悪化。その後に、デザインに価値をおく戦略で付加価値を高め、業績を回復させました。
3:自社に潜む問題
他に売上不振に陥る原因として、自社に潜む問題があります。この問題が最も深刻で、企業を蝕んで行きます。
業績低迷の21の原因
ここからは売上不振に陥る企業に潜む問題を見て行きます。
1:品質が下がっている
効率化を重視するあまり、品質が下がっていることがあります。例えば、食品メーカーであれば、生産数を確保するために、不良品の基準が下がり、品質が落ちることがあります。
また、人手不足により、接客のレベルが下がることも品質の低下と言えます。
最悪の場合、品質やデータの改ざんに発展します。
2:作業の手順が守られていない
リストラを行った企業にありがちなのが、人手が足りず、作業手順を守らないという状況です。こうした悪癖は、休憩の取り方にも現れます。ある工場では、決められた場所以外での喫煙をしていた社員により火災が発生しました。
3:営業マンのサボり
都心で昼間にチェーンカフェに入ると営業マンらしきビジネスマンを目にします。地方では公園の横で車を止めて寝ている営業マンを見かけます。営業マンの多くは、社長が思っている以上に仕事をサボり、日報は辻褄あわせで提出しているケースが少なくありません。既存客の御用聞きにしか行っていないので、売上が上がるわけはありません。
4:会社の価値を下げる営業トーク
商談の場で、自社の価値を下げるようなトークをしている営業マンも少なくありません。
「大手に比べて大したことはない。」
「小回りだけが取り柄」
というような話をしてしまうので、お客さんの信頼を失い、安い価格でしか受注ができなくなります。
一度、自社の営業マンの商談をロールプレイングでチエックすると社長は気絶するかもしれません。
5:新規開拓をしない
既存客からの売上を補填する方法は新規開拓です。しかし、営業マンはテレアポを嫌がり、ホームページが集客に機能していないとなると、新規獲得ができません。
6:厳しい仕事を断っている
多少の条件が合わなかったり、仕様が違う仕事の依頼を担当者が上司の確認を取らずに「うちではできません。」と断っていることがあります。特に、新規の問合せに関して、忙しいことを理由に適当にしか対応をしていない会社が少なくありません。
7:高いままの仕入れ価格
お客さんからは値引きの要請を受け入れているのに、仕入れ価格は以前のままという会社もあります。特に、目立たない仕入れは価格の見直しがなく、積み上がれば大きな原価アップになっています。
8:非効率な仕事
新しいシステムを導入しても、使い方に慣れないベテランは従来の仕事の仕方を変えていないことがあります。例えば、メーリングリストや社内SNSシステムがあるのに、紙でプリントアウトした報告書しか見ない管理職は仕事の効率を下げています。
9:指示待ちの社員
社長が指示を出したことはやるけれど、自分たちからの発案がない会社の場合は、社長が少しでも油断すると、会社の成長が止まります。
10:ベテラン社員のパワハラ
若手のやる気を無くさせるベテラン社員の存在は、離職率を上げます。職場で言葉遣いが乱暴な上司がいると若手の士気が下がっていると考えて間違いないです。
11:若手社員の教育不足
若手社員を教育する仕組みがない会社では、大雑把なOJTで「作業」しか教えないので、若手社員が成長しません。いつまでも戦力にならないのです。
12:雑談のような会議
売上の報告と次月の展望だけを話す報告会のような営業会議では、戦略は生まれません。また、雑談が多い会議は一見和やかなムードですが、何も生み出せません。
13:重要プロジェクトの棚上げ
日常業務をこなすことを優先して、社長は指示を出しているプロジェクトが全く進んでいないことがあります。例えば、新規開拓の指示をしても、営業マンは既存客を回るだけで、社長は聞くと「来週行きます。」と返答します。しかし、来週になっても、行っている様子はなく、言い訳をしながら、社長が忘れるのを待っています。
14:職場環境の悪化
職場に不要なものが多くなると、仕事の効率が下がります。デスクの上に書類を山積みにしている社員は、1日の大半を種類探しに費やしています。
15:接待を受けている担当者
会社に内緒で、業者からの接待を受けて、仕入れ価格の交渉ができない担当者がいます。
16:経費の垂れ流し
移動の必要のない交通費、大盤振る舞いをする交際費。文房具、備品など、経費が垂れ流されていることがあります。こうした会社では、「コピー用紙の裏を使う」という本末転倒なことが怒っています。
17:役員の仕事ぶり
役員が立場にかまけて仕事をしていない。関連会社を通じて資金を還流させているなど、問題を起こす役員は会社を陥れます。
18:社長を裸の王様にする噂話
ワンマン社長の場合、役員以下の管理職が自分の人気取のために、「社長が言っているから仕方がない」という指示の出し方をするので、社長が裸の王様になってしまいます。
19:雑な手配
口頭での指示が横行している会社ではミスが多発します。また、荷物を届ける際の梱包が雑であったりする場合は、お客さんの信頼を損ねています。
20:クレーム隠し
ミスに関して厳しく追及する文化のある会社では、社員はミスを隠します。特に損金が発生しないクレームは報告しないことがよくあります。結果、重大なクレームが発生するのです。
21:設備の老朽化
設備投資を後回しにして機械を使用している場合は、他社の設備が優れていると品質に差が出ます。また、老朽化した機械は故障により作業停滞することが多発します。またメンテナンス不足は、突発的な故障を引き起こし、納期などに大きな支障をきたすことがあります。
22:社員の高年齢化
年齢を割かねると要領がよくなり、仕事への覇気がなくなることがあります。社員が高年齢化すると新しい取り組みへの意欲が失われがちです。
売上不振を打開するために社長が取り組む7つのステップ
ここからは売上不振に落ち込んで切る企業で、社長がやるべきステップをお話します。
1:正すべきは正す
ルールの徹底、不正の解明と処罰など、正すべきは正すことが第一歩です。この時、コトを正す部分と人を正す部分を混同しないように注意してください。
2:社員を肯定する
売上不振の全責任は社長にあります。サボっている社員がいても、仕事をしている面もあります。まずは、売上不振の中でも仕事をしてくれているという社員を肯定的に見てください。
3:社員の話を聞く
まずは社員がどのように考えて仕事をしているのかをヒアリングします。自分の意見をいう前に相手の話を聞くことで本音を引き出すことができます。社長は話を聞きにくい場合は、外部のコンサルタントや匿名アンケートを実施しても構いません。
4:自らを変える
よく言われるように、他人と過去は変えられません。停滞社内を変えるためには、社員を批判せず、社長自身が変わることが大切です。
5:管理はひとつ
複雑な管理をすることで社内は混乱します。まず、最優先事項を決めます。ヤマト運輸の成長を支えた小倉昌男さんは著書「小倉昌男 経営論」の中に優先順位についての記載があります。
労災事故を減らすために、労災事故が極端に少ない工場を見学しました。その工場には「安全第一、能率第二」というスローガンが掲げられていたと言います。帰社した小倉さんは、「安全第一、営業第二」というスローガンを掲げました。
管理は最も社長が重視したいひとつに絞ります。
6:売上アップ策の構築
市場を変える
マーケティングの力を入れる
など、
売上アップの戦略を社員からでなく社長自らが責任を持って考えます。ここは経営の正念場です。コンサルタントに相談してもいいですが、社長が命がけで戦略を考える必要があります。
7:社員への還元
働くモチベーションは非常に大切で、それを働く人にどう持ってもらうかが経営管理の一つの大きな柱です。それを具体的に示すのが賃金制度です。賃金レベルが高いかどうかということと、人事評価がフェアであるかどうかが大切です。社員への還元方式と納得感がモチベーションを上げるのです。
まとめ
この記事では、売上不振の会社に巣食っている22の病巣と7つのステップによる対策をお話しました。
経営の重要課題は人の管理です。しかし、人は機械ではないので、ほっておくとサボりますし、モチベーションが上がると飛躍的な仕事をします。
ぜひ、売上不振から脱出する参考にしてください。