「マーケティングにストーリーを取り入れる」
すでに多くの企業が実践していることですが、効果が出てるのかどうかがわかりにくい点もストーリーテリングの難しさではないでしょうか?
また、これからストーリーテリングをマーケティングに取り入れようと考えている企業は、「どのようにすれば?」とお考えかもしれません。
この記事では、優れたストーリーテリングを分析し、あなたの会社のマーケティングにストーリーテリングを取り入れる方法をお伝えします。
目次
あるK−1ファイター(キックボクサー)のストーリー
足立区の母子家庭で育った手に負えない悪さを繰り返した少年が、不良少年を預かり、格闘技を教えることで更生させてきたジムの会長と出会う。10歳から会長の家に住み込み、幾多の葛藤を得ながら、猛特訓の末に、強敵ばかりが出場したトーナメントを勝ち上がり、大激闘の末19歳で世界チャンピオンになる。
いかがでしょうか?
格闘技を知らない人でも、この選手に魅力を感じたのではないかと思います。それは、この選手にストーリーがあるからです。
このキックボクサーは、武居由樹選手と言います。
ここまでの話で、
・パンチが強い
・フットワークがいい
・蹴りが得意
・相手の攻撃を受け流す
などの、キックボクサーとしての技術力や強さの秘密などは一切お話ししていません。
もし、先に武居選手のキックボクサーとしての強さを紹介していたとしたら、あなたが格闘技に興味を持っていなければ、あなたの関心を引くことができなかったと思います。
一方で、あなたが武居選手に関心を持ち、インターネットで検索をしてみたいと思ったら、それは武居選手のストーリーに惹きつけられたからです。
優れたストーリーには、人を惹きつける魔力があるのです。
ストーリーの力で爆発的な成長を遂げている企業
ストーリーの力で成功している企業にライザップがあります。テレビCMなどでご存知の方も多いかもしれませんが、ストーリーテリングの力で、大きく会員を増やしています。
ストーリーテリングを活用したCMはこちらです。
このCMの中で、
・設備がある
・オリジナルのプログラムがある
・トレーナーが優秀
・料金が安い
などの製品やサービスの紹介はなされていません。ひとりの女性のストーリーを軸に、見事に見込み客の関心を引いています。
ストーリーテリングの構造
ここからは、ストーリーテリングの構造についてお話しして行きます。最も有名なストーリーテリングの構造は、ジョセフ・キャンベルという神話学者が神話の研究から導き出した「ヒーローズジャーニー」と呼ばれるものです。
ヒーローズジャーニーの流れは次のようになります。
未熟な主人公
↓
困難な課題にぶち当たる
↓
導き手(メンターの登場)
↓
計画(目的の明確化)
↓
旅立ち(実践)
↓
失敗(葛藤)
↓
成功
ライザップのストーリーテリングをもとにヒーローズジャーニーに重ねると、
体系が崩れた女優
↓
ダイエットに失敗
↓
ライザップのトレーナーとの出会い
↓
トレーニング計画
↓
実践
↓
厳しいトレーニングと食事制限(お酒はOK)
↓
見事なスタイルに復活
となります。冒頭で紹介した武居選手も同様のストーリーになっています。
ストーリーティングを作成する時の3つのポイント
1:主役はお客さんである
ストーリーテリングをマーケティングに活かす場合は、主役はお客さんに設定することが大切です。自社のストーリーを語っても、多くの場合、自慢話か白々しさが漂ってしまいます。
2:共感される
ストーリーは特別なものであってはいけません。ストーリーを見る人が共感するように心がけます。ライザップの場合、「体型が崩れた女優」を起用することで、見込み客の共感を呼んでいます。「私でもできる」というストーリーにします。
3:自社の製品やサービスはサポートツールである
自社の製品やサービスは信頼性が高く、ストーリーの中では「メンター」の役割を果たします。
ストーリーを作る5つのステップ
ここからは、実際のストーリーテリングについて考えてみます。次の5つの質問について考えてください。
1:主人公はどんな人か?
典型的な見込み客を設定します。見込み客の設定を「ペルソナの設定」と言います。ペルソナの設定方法は、こちらの記事を参考にしてください。
2:主人公は何を求めているのか?
見込み客はどんな願望を持っているのかをリサーチします。
3:主人公が遭遇している問題は?
願望を達成するために、どんな問題があるのかをリサーチします。
4:メンターとしてのあなたのポジションは?
主人公が抱えている問題を解消し、願望を達成できるという自社の信頼性について考えます。
5:主人公の未来は?
製品やサービスを活用した後、主人公に訪れる未来について考えます。
印象に残るストーリーの作り方
ライザップのストーリーを分解してみます。
1:主人公はどんな人か?
体型の崩れた女優
2:主人公は何を求めているのか?
昔のスタイル
3:主人公が遭遇している問題は?
お酒がやめられない、トレーニングが続かない、ダイエットに失敗し続けている
4:メンターとしてのあなたのポジションは?
3ヶ月で理想的なスタイルに導くトレーニングメソッドがある会員制、プライベートレッスンのジム
5:主人公の未来は?
美しさを取り戻し、女優として輝き、素敵なパートナーに恵まれる、自信のある人生を歩む
このストーリーをまとめて、ストーリーテリングを行うと、
「ズボラな生活を繰り返すことで、体重が10キロ以上増えてしまった女優が、数々のダイエットに失敗してたどり着いたライザップによって、3ヶ月間で食事とトレーニングのサポートを受けて美しい昔のスタイルと女優としての自信を取り戻した。」
ということになります。おそらく、このCMを見たダイエットに失敗している女優さんはライザップに行くでしょう。これがストーリーテリングの力なのです。
あなたの会社は、どんなストーリーテリングをマーケティングに活かしますか?
まとめ
この記事では、ストーリーテリングをマーケティングに取り入れるための3つのポイントと5つのステップについて解説しました。
優れたストーリーを見たら、まずは構造を分解する。すると、ほとんどがヒーローズジャーニーに構造になっていることがわかると思います。その後に、リバースエンジニアリングを行い、自社のストーリーを作成するのです。
優れたストーリーは、見込み客に共感され、あなたの会社を大きく成長させます。今すぐ、あなたの会社のストーリーを考えてください。