印刷営業を提案型にシフトする方法を教えてください。

 

 

兵庫県のA社は、折込チラシを印刷する輪転印刷機を3台所有しています。クライアントは、大手量販店で、売上の6割を占めています。最近、折込チラシの効果が薄れてきたので、大手量販店から、折込チラシの数を大幅に減らすという話がありました。

 

このままでは売上が激減します。困った社長は、経営コンサルタントに相談しました。

 

以下は、印刷会社の社長の相談にお答えする内容となります。

 

 

 

広告予算が折込チラシからネットにシフトしている?

 

「これまで大口で仕事をもらっていたクライアントさんからの発注が減っています。営業マンが新規開拓に行っても、折込はやらないと言われます。これからマーケットは小さくなっていくので、経営の方向性に迷っています。

 

他社の動向を見ていると、印刷以外の新規事業に力を入れています。当社もそうすべきかと思いますが、工場設備を維持して行くためには、折込チラシを受注しなければなりません。」

 

「折込チラシのマーケットは確かに縮小していくと言われていますね。しかし、折込チラシを続けている会社はあります。それは折込チラシに効果があるからです。そのことに気づけば、折込チラシを入れる会社が増えるかもしれませんよ。」

 

 

 

「印刷以外の新規事業を考えなくてもいいのですか?」

 

 

 

 

 

「考えた方がいいと思います。実際、多くの印刷会社が広告代理店のように企画提案に力を入れていますね。しかし、インターネットや動画などの事業を後発ではじめても、ノウハウを蓄積している企業の勝つのは難しいです。ですから、まずは、折込チラシの印刷物を受注する方法を強化する方がよいと思います。」

 

 

「私もそう思って、提案営業を強化したいのですが、なかなか営業マンの教育がうまく行きません。」

 

 

 

 

「クライアントに折込は効かないと言われ続ければ、印刷だけをしていると落ち込みますね。しかし、企業はインターネットの広告をしたいわけではありません。インターネット広告が主流になっているので、効果があると思っているにすぎません。確かにネット広告は顧客の絞り込みができるなど、メリットはたくさんあります。一方で、インターネット広告で効果が出せない会社もあります。あくまでインターネットも広告のひとつの手段です。折込チラシの効果があれば、クライアントは折込チラシを作成します。

 

営業マンが提案営業をできるように、折込チラシの特性から考えましょう。どんな業態が折込チラシを入れているのか、改めてリサーチしてみますね。」

 

 

提案ポイント1

インターネットの接続デバイスがパソコンからスマートフォンにシフトしたことで、紙媒体である折込チラシのメリットが増えたと考えられます。例えば、この広告を見てください。

 

 

 

インターネット広告と折込チラシを比較した場合、折込チラシのメリットは、人が一目で見る情報量が多いということです。このメリットを最大限に活かすことができれば折込チラシの効果が出ると提案することができます。

 

 

 

折込チラシが効果的な6つの業態は?

「折込チラシを入れている業種を調べると、

 

 

 

 

 

ゼネラルマーチャンズストア

スーパーマーケット

百貨店・ショッピングセンター

コンビニエンスストア

商店街

ドラッグストア

ホームセンター

家電・カメラ・パソコン・携帯電話

家具・食器店・寝具

音楽・ビデオショップ・おもちゃ

カー用品・車検

ファッション関連ショップ

ペットショップ・花屋

スポーツ用品・シューズ店

文具・手芸店

メガネ・時計・補聴器

写真店・美容室

クリーニング(衣料・靴)

中古品買取・リサイクル・引っ越し・清掃

パチンコ・その他娯楽

求人

飲食関連店舗

宅配食品・酒類販売

学習塾

幼児教育

英会話

カルチャーセンター

スポーツクラブ・スパ・ヨガ

整体・エステ

自動車・自転車関連

不動産・住宅

住宅リフォーム・たたみ

介護・老人ホーム・医療

墓石・葬儀・仏具

健康食品・医薬品

育毛剤・シャンプー・白髪染め・かつら

ファッション通販

食品通販

化粧品

通信教育

その他通販

旅行・ホテル・遊園地関連

金融・保険

電気・ガス・水道

 

となります。

 

ここから特徴をもとにグループ分けしてみましょう。

 

 

 

折込チラシが有効な業態は

 

折込を入れている業態から6つの共通点を導くことができます。

 

 

1:シニア層向けの製品

インターネット検索に慣れていないシニア層向けには紙媒体が効果的です。新聞広告を見ると、ほとんどがシニア向けの商品ですね。

 

2:地域ビジネス

折込チラシの特徴は、エリアを絞って、広告ができるということです。インターネットでも、検索で地域を絞ったり、位置情報から広告を差し込むことはできます。しかし、それは生活者が検索など、能動的な行為をした場合です。受動的な生活者に広告を届けるのは、現在でも圧倒的にテレビが強いと言えます。しかし、テレビは予算も大きくなるので、エリアを絞った広告は折込チラシが有効ですね。

 

3:商品アイテムが多い

商品アイテムが多いビジネスの場合、紙媒体が見やすいと言えます。例えば、スーパーの入り口にチラシが掲載されていますね。お客さんはチラシを見て、お買い得商品を確認してから店内に入ります。

 

4:検索されない商品・サービス

日常的に検索しない商品やサービスも折込チラシが有効です。こうしたビジネスの場合、検索をする前に、お客さんに情報を届けることができます。

 

例えば、葬儀について検索をするとしたら、誰かがお亡くなりになったか、お亡くなりになりそうな時ですね。しかし、折込チラシの場合は、検索前に消費者にリーチすることができます。墓石や不動産も同様で、「買いたい」と思って検索をする前に、「あなたにも買えますよ」というメッセージを届けることができるのは折込チラシのメリットです。

 

 

5:潜在ニーズ

なんとなく思っているけど、そんなに緊迫感はないことに「気づき」を与えることができるのも折込チラシのメリットです。例えば、サプリメントの折込チラシで、「最近、・・・ではないですか?」というキャッチコピーを目にしますね。

 

 

6:新聞購読率の高い地方が有利

新聞の購読率を見ると、都市部よりも地方が高いことがわかります。ですから、地方ほど折込チラシの効果が期待できると考えてもよいでしょう。

 

こうした業態に営業をかけるといいですね。

 

 

提案ポイント2

広告の場合、地方でテストをして都市部で大きく展開するというセオリーがあります。それは地方の方が商圏が小さく、広告予算が少なくてすむからです。例えば、全国放送のCMよりは地方のCMが安いですね。フリーペーパーの広告も同様です。しかし、折込チラシの場合、印刷と配布費用は都市部も地方も同じです。地方でテストをするのではなく、むしろ本番と考える必要があります。全国的に配送と折込手配ができるということが提案のポイントにできます。

 

 

提案ポイント3

新聞購読数が少なくなっているので、折込チラシよりもポスティングが有効だという話があります。ポスティングは全世帯に配布することができるので間違いではありません。一方でデメリットもあります。

 

こうした点を踏まえて、業種によってはポスティングの提案をすることも有効だと思います。

 

 

 

折込チラシに必要な3つの要素

「しかし、折込チラシの反応が下がっていると言われて予算が少なくなっています。やはりデザイン部門の強化が必要でしょうか?」

 

 

 

 

「折込チラシの目的は、レスポンスを取ることですから、デザイン部門やマーケティングの専門家を育成することは大切です。しかし、新規事業と同じく、急にできることではありませんね。

 

御社が印刷をしている折込チラシも専門家が作成しているはずです。それで反応がないとしたら、何らかの問題があるはずです。その問題を解決することで、提案の糸口が生まれると思います。

 

折込チラシの反応がないのは、反応がないチラシを入れているからです。継続してチラシを入れている大手のデザインや訴求方法を見て見ましょう。

 

 

 

これらのチラシにヒントがあります。

 

折込チラシの特徴をもう一度考えてみましょう。新聞に入っていますね。新聞はニュースを掲載するものです。ニュースとは、生活者が知らない情報を届けるものです。実際、知らなければ検索できないですね。まず、新聞やテレビで受動的にニュースに触れる。詳しく知りたいので検索をするという流れです。そんな意味ではYahoo!なんかは新聞に近いですね。しかし、多くの情報はテレビや新聞が発信元になっています。

 

折込チラシは、新聞に折り込まれる以上、ニュースでないといけません。

 

テレビのニュース番組を見ていると

悪いニュース

よいニュース

に分かれますね。後はお天気とグルメや買い物などのお得情報。

 

この点から、ニュース性の高いチラシは効果も高いと言えます。

 

例えば、

 

 

 

 

 

どちらのチラシの反応が高いか、想像ができると思います。

 

「チラシはニュースですか。なるほど。どのようにニュースを作る提案をすればいいでしょうか?」

 

 

 

 

「提案に際して、チラシの効果が上がるように、反応率が上がるチラシは3つのポイントがあります。

 

1:目に止まるニュースであること

2:じっとしていられないオファーがあること

3:オファーに期限があること

 

 

 

これなどはすごくいいチラシだと思いますね。

 

 

 

提案とはクライアントを喜ばせること

 

「やはり、提案のためにはクリエイティブ強化でしょうか?」

 

 

 

 

 

「いえ、提案というのは、すごいことを話すことではありません。相手を喜ばせることなのです。だから、営業マンにクライアントに喜んでいただけることを考えればいいのです。今すぐにできることはありますか?」

 

 

 

「ニュースになっているチラシを集めることはできそうです。それを業種ごとに分類してクライアントに渡すことならできそうです。そんなものでいいのでしょうか?」

 

 

 

 

「とてもいいと思います。どの会社もいいサンプルを集めていますからね。折込会社とのネットワークがあれば、全国のチラシを集めることもできますね。

 

 

 

 

「チラシを集めたら、何曜日にどの地区で織り込まれているのかもデータが蓄積できそうです。」

 

 

 

 

「いいですね。チラシを折り込むタイミングも大切ですからね。」

 

 

 

 

 

「提案営業ができそうに思えてきました。」

 

 

 

 

 

「提案営業をスタートする時は、できるだけ営業マンのハードルを下げることがポイントです。クライアントの手間を省くというのも立派な提案です。まずは、簡単なことからはじめて、営業マンにクライアントに喜ばれるという成功体験をさせてあげることが大切です。」

 

 

提案ポイント4

提案とは、相手が喜ぶ申し出をすることです。クライアントの手間を省くことも十分に提案になります。

 

 

 

まとめ

この記事では、印刷営業が提案をする方法についてお話ししました。

 

提案営業とは

・相手が喜ぶ申し出をする

・相手の手間を省く

ということでもいいのです。

 

今後、マーケットは小さくなると言われている業種は多くあります。しかし、今現在、仕事があるということはそこにニーズがあるということです。

 

なくなっていないということは、必要性があるということ。必要性に価値を加えることで縮小していくマーケットでも十分に戦うことができます。

本業を強化しつつ、新規事業に取り組んでいただきたいと思います。

 

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この記事の執筆者

別所諒
・社長の味方コンサルタント
・株式会社経営戦略パートナーズ代表取締役
・心理カウンセラー

著書
「普通のサラリーマンが年収1000万円になる方法」

「がんばっても成果は出ない」

中小企業の2代目社長のサポーターとして、経営、マーケティング、組織開発の相談に乗っている。

 

 

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