コンサルティング営業をしたい社長が知るべき5つのレベルと6つのステップ

 

 

 

「付加価値のある営業しろ」

「そのためには、コンサルティング営業だ」

 

社員にそんな話をしているとしたら、コンサルティング営業とは何かを知っておく必要があります。

 

確かに、製品やサービスが売れなくなった今、付加価値のある「コンサルティング営業」が注目されています。

 

しかし、言葉だけが一人歩きしていては実現には程遠いので、この記事ではコンサルティング営業の実践方法について考えてみたいと思います。

 

 

 

 

コンサルティング営業とは何か?

コンサルティング【consulting】とは、専門的な事柄の相談に応じることとあります。専門的な相談という点では、企業の相談役や顧問などもコンサルティングを行っていると言えます。

 

コンサルタントという「コンサルティングを行う仕事」では、課題の解決提案と実践サポートを行います。

 

この点から考えると、コンサルティング営業とは、企業の課題の解決提案をし、結果自社の製品やサービスを売込むということになります。厳密には違いがあるのですが、「提案型営業」と同じと考えてもよいかと思います。

 

 

 

 営業の5つのレベル

コンサルティング営業を行うにあたり、現在の自分のポジションを明確にしておく必要があります。

 

あなたの会社の営業マンは、どんな営業をしているでしょうか?

 

コンサルティング営業が有効なのは、すでに形があるプロダクト(製品)を売るよりも、お客さんのニーズからプロダクトを作る場合です。

 

受注産業の場合は、お客さんに言われたものを作るのか、お客さんの課題を解決するためのものを作るのかで、営業のステージが分かれます。

 

 

典型的な受注産業である印刷業を例にお話しします。

 

例えば、折込チラシの作成を頼まれた場合、営業の方法は次の5つのレベルに分かれます。

 

(顧客の課題は売上アップとします。他にも人事や財務などの課題によって解決策は変わりますが、提案の構造は同じです)

 

 

 

レベル1:御用聞き営業

サイズと部数と紙の厚みを聞いて、見積もりを出して受注する。その後に、印刷の手配をして指定通りに納品をするのは、お客様の依頼を受けているだけなので、御用聞き段階の営業になります。

 

 

 

レベル2:プラスα営業

チラシの依頼があった時に、「デザインもしましょうか」というのはプラスαの営業と言えます。その際、原稿やレイアウトの指示を出してもらうのであれば、印刷にデザイン作業が加わっただけなので、コンサルティングとは言えません。

 

 

 

レベル3:トータル提案

チラシの依頼をするお客様は、他にもPOP、DMなどを作っていますので、お客様の仕事を全て受注するのは、トータル営業と言えます。商品の品目が多い営業なのですが、それぞれの品目では価格競争になることがあります。

 

 

 

レベル4:提案型コンサルティング営業

チラシを依頼されたら、「チラシの目的はなんですか?」「ターゲットは?」とお客様の目的をヒアリングして、「それならばこんなデザインがいいですよ」「こんなサイズがいいですよ」「配布の地域はここがいいですよ」「配布曜日は何曜日がいいですよ」と提案する営業です。ここからがコンサルティング営業となります。

 

 

 

レベル5:解決型コンサルティング営業

チラシにこだわらず、お客様の問題を解決する提案をするステージです。「この商品を売りたいのだけど、どうすればいい?」と聞かれた時に、リサーチからはじめ、「売れる提案」をするのが解決型コンサルティング営業ということになります。

 

商品やサービスを売るための提案でなく、提案自体に価値があるという段階です。

 

 

 

コンサルティング営業について経営者が知っていてほしいこと

ここで経営者やマネージャーに知っておいていただきたいことは、安易にコンサルティング営業を推奨しないということです。自社商品やサービスを売ることがコンサルティング営業だと思うなら、必ずしも正解ではありません。

 

提案型コンサルティング営業までは自社商品やサービスを販売することができますが、解決型になると自社商品やサービスがいらなくなることもあるのです。

 

この場合、チラシよりもインターネットを使う方が効果的だと判断した場合、チラシは解決策にはなりません。コンサルティング営業を行う場合、自社に都合の悪いことを話しをしないといけない場面もあるのです。

 

 

 

コンサルティング営業ができるようになる6つのステップ

では、ここからは御用聞きの営業マンがコンサルティング営業になるためのステップをお話しします。

 

 

1:ビジネスの基本的な構造を理解する

どんなビジネスにおいても、基本的な構造は、商品やサービスを提供して代金を回収するということです。ですから、顧客の課題を解決する場合、

 

どんな商品を

 

誰に

 

いくらで

 

どれだけ売るのか?

 

を明確にすることが第一歩です。

 

具体的にやることは、

 

・商品やサービスづくり

 

・売る方法を考える

 

・コストを最適化する

 

・上記3つの活動をする組織を作る

 

ということです。こうした分析には、4P分析が最適です。

 

 

 

 

 

2:業界に精通する

人間が仕事をしている以上、特別にイレギュラーなものは多くありません。とはいえ、業界のことに精通していることが大切です。特に、自分たちの業界が特殊だと思っている顧客には業界知識がないと話を聞いてもらえません。

 

最低限「●●業界 課題」「●●業界 市場」と検索してみます。そして、業界1位〜3位までの会社の基本構造、新しく注目をされている会社の基本構造をリサーチします。

 

 

 

3:心理学的知識を身につける

どのように売るのかということには、「行動経済学」の知識があるといいでしょう。人は必ずしも合理的に行動しないことがデータで実証されています。

 

例えば、

 

深夜の1時に友人に電話をかけて「1万円あげるから今から来ない?」と言っても来ない友人が多いでしょう。しかし、その友人が数日前に1万円入りの財布を落としており、警察からの深夜1時の電話で「今すぐ取りにくれば財布は返す。明日になると拾った人のものなる」と言われれば、おそらく友人は取りに行くでしょう。

 

つまり、人は得よりも損をしないことに反応し、自分の持ち物を手放すことを惜しいと思うようにできているのです。

 

こうした知識や心理学の知識を持って行くことはビジネスの交渉を有利にします。

 

担当者の性格によっても、

 

メリットを伝えればいいのか、デメリットをなくす提案すすればいいのかで提案の通りやすさは違います。

 

 

 

4:コミュニケーション力

コミュニケーション力とは、自分の考えを相手に伝えるだけでは不十分です。相手を思うように動かしてこそ、コミュニケーション力があると言えます。そのためには、相手のコンテキストを理解することが第一歩となります。

 

コンテキストとは、文脈と訳されます。ここでは、「その人の中にある常識的な考え」という意味でお話しします。

 

例えば、

 

大阪で道ゆく人に、「暑は夏いでんなー」と声をかけると、多くの人は「夏は暑いや」と返してくれます。これを東京でやると気味の悪い人だと思われそうです。つまり、大阪人にはボケとツッコミのコンテキストがあり、東京の人にはないということです。

 

コミュニケーションのある東京人は、大阪人のボケにツッコミで返すことができます。

 

つまり、「コミュニケーション力とは、コンテキストのズレを解消する力」と言えます。その業界のコンテキストについて知っており、自分の提案とのズレを解消することがコンサルティング営業でのコミュニケーション力となります。

 

 

 

5:プレゼン資料の作成

例えば、売れるノウハウを教える書類として、「営業は質問をすること」のタイトルで、次の質問を10個繰り返せば売れますと書いてある1枚の紙よりも、分厚いバインダーに綴じられた

 

1:営業とは何か?

 

2:多くの営業マンが売れない理由

 

3:質問型営業とは?

 

4:コンサルティング営業を加速させる10の質問

 

というように、前置きや蘊蓄が書かれている資料に価値を見出します。文章力やPowerPointの作成力は持っておく方がいいです。

 

 

 

6:プレゼンテーション力

最後はプレゼンテーション力です。プレゼンテーションは、説得をして相手を納得させることではありません。説得されてモノを買いたいと思う人はいません。コンサルティング営業に置けるプレゼンテーション力とは、「相手を巻き込む力」です。

 

提案内容を

 

相手に自分ごととして捉えさせ、

 

・ワクワクするもの

 

・面白い

 

・楽しい

 

・やりたいと思わせるもの

 

キーワードは「あなたの企画」です。

 

「あなたからのヒントで・・・」

 

「あなたの課題意識から」

 

という具合に、相手から生まれた提案であることを意識付けさせることで、プレゼンテーションは成功だと言えます。

 

 

 

まとめ

ここまでコンサルティング営業について考えてきました。モノが売れない時代にコンサルティング営業は有効な手段です。しかし、自社に都合のいいコンサルティングは、説得の域を出ません。コンサルティング営業は万能ではなく、自社のステージに合わせた実践をすることが大切です。言葉に翻弄されず、本質を考えてからコンサルティング営業を行っていただきたいと思います。

 

※ご注意

コンサルティング営業は「営業」です。提案の質にこだわりすぎると、営業マンはパソコンに向かい続けて、営業に行かなくなることがあります。ご注意ください。

 

 

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この記事の執筆者

別所諒
・社長の味方コンサルタント
・株式会社経営戦略パートナーズ代表取締役
・心理カウンセラー

著書
「普通のサラリーマンが年収1000万円になる方法」

「がんばっても成果は出ない」

中小企業の2代目社長のサポーターとして、経営、マーケティング、組織開発の相談に乗っている。

 

 

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